本当なら「アカデミックスキルが実務スキルを含む(あるいは一致する)」が成り立つ。
ここで言うスキルとは「付加価値を生む知的生産スキル」だ。

例えば、
・問題提起し、文献を探って読みこなして組み合わせ、方法や知見を新規構築するスキル(リサーチ、critical thinking)
・提起した問題について、文献やペーパーをストーリー立てて書くスキル(分析、情報整頓)
・様々なバックグラウンドの人との発表・議論を経て理解・合意・交渉・落とし所に至るスキル(プレゼン、ディスカッション、ネゴシエーション、ディベート…)
といった要素が挙げられる。

これは、アカデミックスキルでもあり、実務スキル(政府組織でもビジネス組織でも)でもある。
例えば、このスキルを一般的な新しい分野の構築やリサーチに用いるかもしれないし、研究費の調達に関わるかもしれないし、新規ビジネスの立ち上げや経営管理に活かすかもしれない。
ジャンルによって用いる知識は異なるが、基本的な考え方は共通して用いることができる。

いずれも、知的生産の基本だと言っていい。


いっぽうで日本語の「実務」という言葉には、
付加価値のない雑務や作業やペーパーワークやルーチンワーク
という、一文字違いの「雑務」のイメージが先行してしまう。

イメージを遠慮せず言葉にすれば、
「経理事務、営業事務、総務事務、電話応対、お茶汲み…」
といった「縦割り組織で下っ端がやるもの」という程度の内容しか残らない。

知的生産が入る余地のない内容ばかりが揃う、そんな印象を受ける。



ただしこの印象から離れると、ようやく今になって、技術やサービスの(知的生産ベースの)進歩のおかげで「ルーチンワークを外注化するか・自動化するか・どう効率化や生産性の向上を図ろうか…」というまっとうな感覚と選択の余地が、ほんの少しずつ広まってきた。

比べると、既存の「実務」という言葉のイメージは、知的生産から離れた、いかにも古臭い因習めいたものでしかない。

このとき、アカデミックスキルを実務スキルとして取り扱えることは「因習に囚われないスキルを持っている」と言い切るくらいでちょうどいい。