経営 その34 〜 ファイナンス・財務・経理。

daily1 商い。

この語群ほど、仕事をゴチャつかせる罪作りな言葉はない。

そもそもファイナンスも財務も、実際はお金の上流工程として同じ物事を意味している。
また経理(と会計)は、一般的には仕訳や記帳や、財務諸表作成のといった事務仕事の意味で用いられる。

しかし日本語圏で「財務」と単に呼ぶ場合、「財務会計」(仕訳や記帳といった、一般的な経理事務。アカウンティング)を暗に意味してしまう場合も少なくない。

さらに言うと「経理」の語源は「経営管理」という説があるが、これは実は現代的な解釈にすぎない。「経理」は「物事を治めて整えること」という意味であり、古代中国の歴史家である司馬遷が著した『史記』の「始皇帝本記」にて使われている。

ここまで並べると、もう直感的にはよくわからない。

ファイナンスのひとつの分野である、Financial Planning and Analysis(FP&A、財務計画・財務分析。この言葉以上にやることが多い分野)はどこに入るのか、また日本語圏でよく見かける、経営企画部や経営戦略部のお仕事はどこに入るのか、そういえば「金融」もファイナンスであり、じゃあ資金調達を行う部門はどこに入るのか……という疑問が尽きなくなってしまう。

ここでひとつ、思い切って整頓してみよう。
・ファイナンス・財務・金融=カネの流れを管理する仕事。
・経営管理=ヒト・モノ・カネ・情報の全般を管理する仕事。
・会計・経理=仕訳や記帳や財務諸表作成といった複式簿記周りの事務処理の仕事。

最初の2つ「ファイナンス」「経営管理」は、資金と経営を管理(コントロールあるいはマネジメント)するという目的がある。
最後の1つ「会計・経理」は、コントロールやマネジメントというより、もっと低次の事務仕事である。
(「会計」を「財務会計」とする場合、全体像を司るコントロールやマネジメントの要素が入るのだが、仕訳や記帳しか扱わないという目線で「会計」にとどめた。)

ファイナンス・財務・金融には、マネジメントの要素が加わる。
経営管理は、文字通りの企業のマネジメントである。
会計や経理は、マネジメントが関わらない事務処理の仕事である。
財務(Finance)と会計(Accounting)は、そもそも別物だ。事務処理だけでは財務とは言えない。だからこそ「財務会計(Financial Accounting)」という単語が成立する。

現実解。
マネジメントの要素の有無で見ていけば、シンプルに片付く。
より上位、つまり経営側の仕事をしたければ、管理会計(Managerial Accounting)を知る必要があることにも一致する。
ヒト・モノ・お金・情報について決断(意思決定)を下すなら、細かい仕訳の要素も財務諸表も、このような分野の分類も、自分の言葉で語れると有利なんだよね。

..遠藤武

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。

↑詳しい自己紹介は上記リンクを参照。

boxcox.netを講読する
タイトルとURLをコピーしました