海外に学ぶのではなく、基礎を磐石にする。

三行世界。

私は「英強数強は強い」と繰り返し述べているが、

これは独自の価値を出す際や、あるいは独自の価値を出す前段階のキャリアで、

日本人として頭脳プレーで強みが発揮できる「基礎」であるためだ。

 

念のため明確にしておこう。

私は「強みを活かして楽勝せよ」と繰り返し述べているものの、

お得だから英語屋さんになれと主張したことなど一度もないし、

手に職がつくから理工系を選べと主張したことなど一度もないし、

これらの日本の教育を否定し海外で教育を受けるべきと主張したことも一度もない。

これらは基礎でもなんでもない、断片的な発想でしかないためだ。

百歩譲って、理工系は資格や専門職があるが、これも断片的な技能を1時間おいくらのチャージレート計算という値決めで片付けられてしまう分野であり、限界がある。

 

私はアカデミックスキルとしての英語運用能力を日本から一歩も出ず大学のカリキュラムで実用レベルに達し、

受験数学から財務モデリングや大学で研究する統計モデリングを経て、工学系国家資格団体の運営(これは家業だ)に携わったため、

英語屋も理工職も、それ単独では限界がある実態を生々しく把握していた。

 

また昨今、SNSで海外での教育について「日本のほうが文化的に優れていて過ごしやすい」「海外の日常は排他的である」という声を聞くが、

私は大学時代に教育史・教育社会学・教育行政学を専門分野として実績ある研究者に学んでおり、

「富裕層や知識層・専門職や学位取得でない限り、不用意に海外の生活文化含めた教育が優れていると思い込むのは根本的に間違い」と把握していた。

 

それゆえ「英強数強は強い」と述べているのは、あくまで日本人という立場を極限まで活かせる基礎の話なのである。

 

現実解。

英強数強をアカデミックな文脈で得るというところまでが、基礎だ。

上っ面や断片だけで基礎のないレベルは、ちゃんと避けておこう。

 

追記。

英語単独でも理工系単独でも一定程度強いのはその通りだが、それはあくまで常識的なオペレーターの発想である。

全ての本質は「常識を知った上で疑いを投げかける繊細さと大胆さ」という、作り手の発想だもの。

 

追記の追記。

教育について挙げると、日本の高校や大学を経ず海外に直接向かう人は超少数派だけど、今のところ日本語圏で突出して活躍できていないケースが目立つ(海外で教育を受けるケースで活躍が目立つのは日本のトップ大学学卒→有名海外院+職歴ありという極めてニッチなジャンル)。

この理由は、日本での教育とキャリアが日本語圏向けに一揃えのパッケージになっているのと、日本のGDPの高さもあいまって、その枠内で活躍する方が有利な土俵を創りやすいからだと想定できる。

直感的に言うと、日本とGDPが拮抗していない英語圏や欧州圏に出てしまうと、いかにワークライフバランスが良くとも、いかにSNSで知名度を上げても、大企業(日本に拠点を置く外資企業含む)や官公庁や研究機関や日銀といった日本の地の利が活かせず不利になる。

加えて、ここに文化の違いや人種の関わる話題も含まれてしまい、日本人にとって有利な土俵が削られてしまう。

「基礎を固めて有利な土俵を作る」という観点からは、この事実をありのまま受け入れておくといい。

ボックスコックスネット、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
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◆遠藤武の連載執筆
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