知識は行動のためのパーツだと、まず理解しておこう。
ひところ前に、
「大卒が最も知識を持っているのは、大学合格直後だけだ」
と言われていた。
要は、大学生や社会人になってから遊びにかまけてしまう、
そんな悪しき習慣が存在していたのである。
今の20〜30代はインターンシップを経験したり、
外国語やプログラミングや統計学を学んだり、
専攻関係なくビジネスの素養を得たりと、
事情が大きく変わっているという事実があり、
遊びにかまけていられない。
いっぽう、言うまでもないが、
何となく集団心理で群れてしまうと、
仮に元来群れていなくとも、
無自覚のうちに悪しき習慣に染まりかねない。
それは大学生だろうと、サラリーマンだろうと、
医師や弁護士やコンサルだろうと、
あるいは起業家や経営者だろうと、同じだ。
知識回収が重要である事実を、
繰り返しデイリーレポートで述べているが、
それは「何となく群れて、何となく出来た常識に染まらない」ためである。
「知ってるつもり」を消すことが、知識不足を消すことである。
のんべんだらりと同レベルの人間で群れていては、絶対にかなわない。
同レベルで群れないためにも、
「人文科学・自然科学(STEM=科学・技術・工学・数学を含む)・社会科学」
という枠から、常に広く知識を回収し続ける必要がある。
具体的には、文部科学省がまとめている大学の学部系統分類表をイメージに使えばよい。
自然科学(STEM)が幅広くなるのはさておき、物事は概ねこの分類に網羅される。
この分類表について、
「レベルが高すぎる」「それぞれの単語を検索しても難しい」
と感じるなら、それは正しい。
だからこそ、たとえ小中学校の範囲からやり直したとしても、必ず新たな発見がある。
もちろん、中学受験や高校受験や大学受験の内容でも構わない。
小学校や中学校や高校の学習内容をやり直すことは、
役に立つだけでなく、純粋に知的刺激として品質が高く、楽しい。
それこそ学び直しの本は多く出ており、
書店に足繁く通うことで、知識不足を消す機会につながる。
また大人になってから、
『スイミー』のような名著の絵本を改めて本気で読むことは、
難しそうな本を積ん読する「自称読書好き」よりも凄みが出る。
何より誰でも知っている童話のような本を、
自分の会話の中に改めて取り込んでしまえば、
誰にでも刺さる表現を磨くことができるのである。
また、この分類表について、
「そもそもビジネスのことなどカバーしていない」
と不足を感じるなら、それは正しい。
ビジネスで必要なことをサッと3行でまとめると、
・自分が前向きに楽しむことで、人の役に立ち感動を誘うサービスや商品を展開すること
・必要を感じない人に一切売り込まず、品よく不快を誘わないこと
・尊敬と信頼を確立し、素直に凡事を徹底して、継続的かつ不連続に成長すること
だけである。
10〜100冊単位で特定の著者を集中的に読んでいけばわかるが、
上手く行っているマーケティングとマネジメントは上記のように3行に圧縮できる。
ビジネスにおいては、この圧縮した考え方の基礎や各論として、
小学校や中学校や高校・大学以降の知識が肉付けされるのだ。
圧縮から逆算して行動するならば、個別の論点について、
具体例を載せているビジネス書を複数手にとって読んで、
できる範囲から自分で真似して試してみればいいのである。
小規模なら小規模なりに、ノウハウなしならノウハウなしなりに、
取るべき現実解が常に存在していると仮説を立てておこう。
試しただけ結果が出るからこそ、
自分にとって最適なものを炙り出すように、
楽しんで考えて試していけばいいのである。
知識と同時に行動が必要であることが腹落ち出来れば、
過程やゴールから逆算し、どのような知識や行動が不足していて、
ボトルネックがどこなのかがよく分かると言っていい。
知識を得ることで行動し、行動することで知識を得る。
この両輪があれば、自分で知識不足を発見して、
「ラッキー!知識不足を穴埋めしに行こう!」
という発想に到れるんだよね。
知識は行動のためのパーツという言葉を体現し、
成長し続けられることは、最強の現実解。
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遠藤武