「遠藤さんの言う『仕組み化』とは、そもそもどういう考え方なのですか?単なるルール作りやシステム化やマニュアル化とは異なるようですが、具体的な物事だけでなく、根本的な発想が気になります。」
私が言う「仕組み化」とは「ストラクチャード・ファイナンス(仕組み金融)」と呼ばれる、キャッシュ・フロー(現金流入:正確にはキャッシュ・イン・フロー)に依拠した視点を意味しています。
というのも、分析も仕組み化も、それがビジネスである限りは、キャッシュ・フローが継続的にプラスにならないならば残念なものだからです。
いくらピカピカの仕組みを作り込んでも、いくらデータを揃えて分析しても、いくら行動を変えても、いくら面白くご機嫌な組織にしても、継続的にキャッシュ・フローが増えて、現金が残っていかなければ、何も成り立ちません。
きれいごとを抜きにすると、上のように断言する以外になくなります。
マーケティング手法も、LP作成などの広報も、分析も、自己啓発も、会議サービスも、巷にあふれています。
いっぽうで、語義や語源を軸に「キャッシュ・フローを増やすことです」と明確に言い切っている書き物やサービスは、ほとんどありません。
この理由はシンプルです。
それだけニッチな競技のためです。
99%以上が、分厚い背景など何もないまま「LP制作代行」などを仕組み化だと言い張って進めているからです。
FP&Aも財務モデリングも、デジタル化もデータドリブンもマーケティングも、仕組み化の材料でしかなく、FCF(フリーキャッシュフロー)を分厚くして現金を残すための手段です。
企業や事業の価値を上げ、かつ世の中に良さを残すという発想が乏しい、お粗末な状態が事実なのです。
それもそのはず、あくまで巷に溢れるものは、品質の低い制作代行を売り逃げするような、毛並みの悪さがあります。
実は、偽物を一発で見抜く方法があります。
「あなたは『この人は本音で助けたい!』と思った人について無料で仕組みをつくり、対価をレベニューシェアや送客をしてもらう形にするなど、成果報酬で実績を出したことはありますか?」
と聞けばよいのです。
これにyesと即答する人は、とても実力があります。
エンジェル投資家と同じことができるため、情報商材切り売りの必要も、ウェブマーケティングの必要もありませんし、紹介を組成することもできます。
これにyesと即答できないとか、しどろもどろになる人は、例外なく情報商材屋売りつけ系です。
とある凄腕コンサルタントが、引退後の自著で「そのコンサルが本物か否かを見たいなら、成果報酬を持ちかけてみるといい。成果報酬に応じられるなら本当に実力がある」とポツリとバラしていました。
これにハッとした立場として解釈すると、成果報酬に応じるにしても、そこに成長余地があるかどうかを把握する必要があり、本物はそれを一発で目利きできるということです。
現に私の場合も「これは自分が関われば、即時その場で『売り手よし・買い手よし・世間よし』の座組みが成り立つだろうな」と直感し、無料で手がけて成果を出したものが複数あります。
これはエンジェル投資家や、Y CombinatorのようなVCが対応する目線のものですね。
ちゃんと実力に見合ったマーケットがあるものは適切に対応すれば伸びますし、下請け・マーケットなし・実力不足では何をどう頑張っても伸びません。
この目利きや横展開は、ちゃんと経験を積んだ、毛並みのいい本物の人にしか出来ないというのが事実です。
余談ですが、あくまで「ゼロ立ち上げ」からのグロースが軸であって、「売上高が数億円くらいになって伸びしろが見えてから加わった」場合だと、
その経験が人生最大の実績としてピークアウトしてしまい、独自の横展開など無縁な講演屋さん止まり…という事実が多々あります。
注意深く見ているとわかりますが、このケースはラッキーパンチです。
ほか、思いっきり時流が味方してくれた場合、率直に申し上げてあまり実力がない人でも、年売上高数百億円くらいを天井とする、それなりの規模のものが出来てしまいます。
その場合の横展開は、そもそも時流という別競技なので厳しく、まただいたいの場合実力不足ゆえそれ以上成長しないのがオチであり、ラッキーパンチです。
そしてもっと言うと、単に現金を残してそれ相応に時間とお金に余裕を出すだけなら、これらよりさらにレベルの低い「自称」「もどき」の情報商材でも何とかなってしまいます(もちろん規模と毛並みはよくなりませんが)。
それだけ、ラッキーだけではどうにもならない、ニッチな競技なのです。
現実解。
このように眺めていくと、キャッシュ・フローが継続的にプラスになり、かつ機能も情緒もご機嫌な方向づけができるものを重視する意図が伝わるでしょうか。
ストラクチャードファイナンスそのものは、規模が大きいわりにニッチな個別分野のため、知っていれば少しお得…程度の話でしかありません。
そのような局所最適や個別の話に終始するのではなく、本来は全体最適であり、もっと乱暴に言えば「成長の上で、最終的に辻褄があえばいい」のです。
物事を縦軸からも横串からも見ていくことで、もともとそこに仕組みがないと思っていた状態に、あれよあれよという間に成長していくこともあります。それくらい訴求力があり、個別の話題で細々したりカリカリせずとも成り立つおおらかなものなのです。
ともすれば「個別的な手法ありき」で疲れる…という実情から、もう上に逃げる時期なのです。
自分だけの疲れない土俵を作るチャンスでもあると視点を変えれば、「キャッシュ・フローが継続的にプラスに楽しく出るもの」と思っておくほうが、過不足なくシンプルではないでしょうか。
boxcox.net、遠藤武。
