『くじゃくは飛んだ』とは、ハンガリーの作曲家コダーイ・ゾルターンによる変奏曲として広く知られる。
ハンガリー民謡の歌詞と楽曲を元に、国民的詩人のアディ・エンドレが詩をしたため、
コダーイが民謡を変奏曲に仕立て上げることで、第二次世界大戦時の圧政に対する抗議を行った。
吹奏楽からオーケストラまで、さんざん聞いたこの曲から教わったことは数限りないが、
特に言えるのは、作品を作り続ける音楽家や文学者や芸術家は、
権力に対して堂々と抗議していいという点だ。
税金から報酬を受け取る公人の分際で、民衆の抗議を聞こうとしない政治家は、
一発で永久追放に出来るシステムを用意してしまえば事足りる。
それが嫌だと言い出すなら、税金から拠出して国境線にでも住まわせておけばいい。
(更にそれが嫌なら、民間企業を自分で作ればいい)
芸術は自由のためにあると常に言い切り、
自由のためには、民謡のように「聞いたことがあるモティーフ」を掘り下げ、
事実をかき集めながら想像を膨らませていき、多くの人を勇気づけるのだ。
表現したりものを書いたりすることで勇気づけられ、心の自由が担保されるとすれば、
それは「思考が整頓され、表現の置かれた文脈が抗議につながる」ためだ。
芸術を通じて抗議することは、通りいっぺんの抗議という理屈を超えて、ただほれぼれするからこそ、メッセージが生き残るんだよね。