仕事で遠回りすることは、一般に良いとされないが、実はこれは誤りだ。
統計学を始めとするデータ分析は、遠回りすることで近道を得るのである。
そもそも遠回りすると、誰もいないところを歩ける。
ゆえに前人未到の景色を楽しめるのであり、これは仕事やキャリアでも同じだ。
統計学は習得に一定時間がかかるが、その遠回りはかえってキャリアで近道できる。
また、統計分析に用いるデータの取得には時間がかかるが、その時間を使って更に遠くを洞察できる。
これこそ遠回り=近道という発想の基本だ。
今でこそデータ分析の仕事はメジャーになっているが、これはたかだか10年ちょっとのことである。
それ以前は、R言語(統計学の分析や実装が可能なプログラミング言語)を使う人さえそう多くないどころか、
統計学そのものを理解し使いこなせる人が圧倒的に少なく、工学や物理学・化学・生物学の研究・開発といった領域どまりだった。
今では全ての分野で統計学が求められるようになったが、活用する上で覚える物事が相応にあり、
また「分析して洞察を出す」というアカデミックな知的生産も含むため、当然ながらハードルが高い。
それでも統計学が求められるのは、
「遠回りを承知の上で、遠回りを圧縮しつつ洞察し、次に進んでいく」
という技能がそこにあるためだ。
現実解。
データは足跡であり、足跡を1つ1つたどることも大事だが、
それらを一まとめにして動向を読み、分析で時間を買ってしまうと、
前倒しや先周りのきっかけが掴める。
boxcox.net、遠藤武。