マーケティングの専門家に、マーケッターやCMOがいるが、役割が一意に定まらないことが多い。
実はマーケティングは、規模の大きさで内容が根本的に異なるためだ。
(1)大規模マーケティング
年売上高で兆円から千億円単位(企業や業界によっては数百億円)の場合、基本的には「ありもの」が多く揃っている。
テレビCMをキー局のゴールデンタイムや各種メディアで出せる資金力、営業所や店舗や従業員が多いゆえの一般的知名度など、手段を使うだけでキャラクターづけがしやすい。
この場合のマーケティングは「工場のような製造ラインで顧客にリーチする重厚長大の発想」が基本だ。
要は、「ありもの」の規模の大きさを生かした動き方がカギであり、既にあるお客様の成功を活かしていくのだ。
(2)小規模マーケティング
年売上高数十億円〜数千万円〜ゼロイチ立ち上げのマーケティングであり、これは歴史が浅く(1)の大企業と資本関係も提携ないケースだが、この場合は「お客様の成功」を小さく粗々で作ることが基本だ。
かつ、自分の楽勝できる得意技や、世の中に得意技を送り届ける思いなど「なぜあなたがやるのか」という目的を明確にするのである。
この場合のマーケティング、広告やCMといった大規模ゆえの手段ではなく、「ありもの」を「お客様の成功」に変えていくことが基本だ。
要は、「ありもの」のないゆえの小規模でニッチな動き方がカギであり、大きい規模では狙えない分野を、得意技と思いで突いていくのだ。
ここまでは一般的なまとめである。
あまり語られないため、更に明確にしておくと、
(1)大規模マーケティングと(2)小規模マーケティングでは、やることが根本から異なっており、事実上お互いの接点がない。
(1)の既存ブランド向けマーケティングを大手企業の潤沢な資金力やIP(知的財産)を活用して手掛けてきた人が、
(2)で後ろ盾や資金や知財のないゼロイチ立ち上げをしようとすると、
あっさり勝てずに終わるケースが多発する(逆はキャリア上難しいためほとんど聞かない)。
いわゆる大手企業出身のマーケッターは(1)しか経験がない「大規模マーケティング装置のオペレーター」であるため、
(2)でゼロイチ立ち上げをしようよすると、「お客様の成功」が作れず終わってしまうのだ。
現実解。
ゼロから独立すると、(1)の大規模マーケティングは事実上不要であり、(2)の小規模な「お客様の成功」を的確に捉えることが全てだとよくわかる。
(1)のマーケティングの発想は「ありもの」であるャンボジェットのパイロットであり、(2)は小さな飛行機を発明したり紙飛行機を長距離飛ばすようなものである。
ボックスコックスネット、遠藤武。