しばらく前に、キャリアに関する記事のタイトルで「異分子であれ!」と書いた。
これを生々しく言えば「異分子でないなら、コモディティにならざるを得ない」である。
例えばベンチャーのCFOは、普通にやるだけだと「資金調達と資金繰り」で終わってしまい、異分子であることが許されない。
その場合、CFOは売上予測や事業のグロースという、泥臭くも本質的である要素に関わることが難しくなる。
ベンチャーのCFOの経歴で「IBD出身のみ」あるいは「戦略コンサル出身のみ」という場合、FP&Aの事業づくりや組織づくりという泥臭い部分が経験できないことになる。
資金調達ラウンドを4〜5回重ねて、もうじき上場…という場合こそ、こんなケースは多い。
その根本的な理由を言うと、CxOを増やす分業体制を敷いているためだ。
マーケティング統括のCMO(あるいは売上統括のCRO=Chief Revenue Officer含む)がいる場合や、人事統括のCHROがいる場合が急増するのである。
そうなると、全体を統括し、あらゆるリソースを活用した組織作りへの関与…が極めて難しくなってしまう。
資金調達に意味がないとは言わないが、全体を統括するという目線が得づらくなってしまうのは、言うまでもない。
組織の仕組みという観点では正しいものの、個人の成長という観点からは、少し残念であるのだが。
私はこれに気づいて「権限が分散したCxOよりも、強権を持つFP&Aのほうがエキサイティングかもしれない…」と感じていたことがある。
事業全体を仕組みとデータで統括するという場合、FP&Aのほうが独任的に「小さいワンマンCEO」として、異分子であることが許されるためだ。
組織とは権限の持たせ方で全て決まり、権限のない立場はコモディティになってしまう。
データ分析についてこれを繰り返し述べてきているが、分業化したCxOについてもコモディティ要素が生じてしまうと言える。
現実解。
異分子であることが許される環境のほうが、急成長できるまでが事実である。
コモディティ化を避けて自分のチカラをつけたいなら、その企業のキャラクターを見て、権限を強く与えてくれるFP&Aで挑戦するといい。
ボックスコックスネット、遠藤武。