一気に全部変えて、
仕組み化しようとするからだ。
要は、それだとハードルが高すぎる。
例えば、経営者が「こんなこと出来て当然だろ!」という、
トッププレイヤーの視点で見てしまうことはありがちだ。
数多くの企業経営者や組織の成長に携わって来ているが、
これは率直に言って典型的な失敗パターンである。
できないスタッフをできるようにするには、
仕事のひとつひとつを切り分けて、
スタッフが「なるほど!」を得られるよう、
納得できる仕組みのセッティングをしておく必要がある。
仕組み化やアドバイスというものは、
1つずつこなすのが基本中の基本ということだ。
ひたすら「これでもか!」とまでにシンプルにするのだ。
「ええっ、こんな簡単すぎる内容でいいの…?」
そう感じるくらいでちょうどいい。
小規模な企業でもKPIを作るようになったが、
KPIの大前提として、実際に行動を測定できる必要がある。
行動するのが億劫になるハードルがある時点で、
そのKPIは絵に書いたモチで終わる。
それくらいなら、
売上を立てるためのKPIは、
「既存客や見込み客と接触した回数」
だけに限定すればいい。
そもそも、
ハードルを高くしてついて来れないスタッフが、
競合他社で多発しているからこそ、
シンプルにするだけで一発でチャンスが得られる。
会議に遅刻しないようにするとか、
資料の提出期限を必ず守るとか、
基本的なことができていないとしたら、
それを先に徹底して直せばいい。
それだけでも立派な仕組み化だ。
日々怒号が飛び、経営者として嫌な思いをし、
スタッフも嫌な思いをして離れていくことを回避するには、
そのようなルーズさを排除することが先決なのである。
あちこちで聞く、ありがちな嫌な話を無くす。
それだけで実は、少数派になれるのである。
当たり前のほんの小さいことを、
当たり前でない回数繰り返すのは、
仕組み化のとても大きな第一歩だ。
このセッティングが完成していれば、
経営者はプレイングマネージャーとして、
次のステージに成長できる。
経営者としての時間を増やせるのだ。
経営の仕組み化をめぐるこの図式は、
野球選手がコーチや監督になることと同じ。
プレイヤーをいつか卒業してマネージャーになるのは、
実はどの世界でも共通しているんだよね。
高校球児が挨拶を徹底することと、
経営の仕組み化は、本質的には同じだ。
boxcox.net、遠藤武。