稼働率を割り当てて複数人数を回すビジネスは、
そもそも少人数の後発組では企業として成長しない。
この分野には規模の経済を持つ者が勝つという単純明快なルールしかなく、
少人数だと忙しいだけで成長できず小粒なまま終わる。
外資コンサルティング会社は稼働率ビジネスだが、
これは世界中に人がたくさん確保できているからこそ成り立つ。
この本質は、人材派遣や代行業だからこそ、
理念で優秀な人を釣って、稼働率で人を使い倒すのである。
外資コンサルを超小粒にしたような構造の後発コンサル会社は、
小規模な人材派遣会社とさして変わらない。
自前で優秀な人をなかなか揃えられないから、
優秀なフリーランサーを起用することになる。
(外資コンサルでも、人材不足でフリーランサーの需要が高まっているが。)
この実情から言うと、けっきょく一番得をしているのは、
優秀なフリーランサーということなんだよね。
いくら法人化して大きなプロジェクトを立ち上げても、
肝心の競技参加者の実力はそうそう変わらない。
だからこそ優秀なフリーランサーは常に引くて数多だ。
レアな経験を持つ人が、更にレアな経験を積み重ねる。
そのノウハウが由緒ある出版社から本で出版されたり、高値で取引されるのだ。
この事実を認めるべきなんだけど、
理屈でわかっていても腹落ちできていない人が、
外資コンサル業界の多数派であり、事業会社のことも計数管理もよく知らないんだよね。
その合間を縫って、
実力ある少数派が強烈な武器を駆使し、
実力ゆえに稼働率ビジネスの上澄みを経験し、
実力を発揮して稼働率ビジネスなどさっさと卒業してしまう。
この事実を素直に認めていれば、
人材派遣会社みたいな稼働率のビジネスモデルで起業なんか絶対にしないし、
そもそもサラリーマン時代の延長線上にある物事を、
「起業」と呼ぶのがいかにおこがましいか最初から気づけるはずだけども。
少数派の立場としては、
これがインフラとして機能している事実に心底感謝しているし、
そのおかげで雪だるま式にお金も実力も増えていると断言していい。
だからこそ、愛を込めてストレートに言うのだ。
「頭脳プレーするなら、もっと孤独に懐疑したほうが、簡単に抜きん出られる」という事実が、
現に目の前にチャンスとして常に広がり続けていることを。
そして、会社も人材も、本質的にはただの入れ物や手段でしかないということを。
boxcox.net、遠藤武。