環境の恩恵と、データ分析キャリアの発見。

データ分析ここだけ話。

環境に応じて価値観が定まり、そこからキャリアの大枠が決まる。

 

私がデータ分析のキャリアを見つけたのは、

この事実を幼少期に周囲の大人から先に知り、

それがその後に本で読んだことと符合したので、

受験する大学選び、実際の進学先選びから、専門分野と仕事選びまで、

前倒しで考える機会が多くあったためだ。

 

幼少期と大学選びの話。

関東大震災も空襲も比較的被害が小さく、文豪の関わった史跡が多い割に、どこか泥臭い東京23区の狭い地域で育った自分は、

日本語圏だけでしか過ごせず、かつ数学やテクノロジーに弱いと「何もできない」とぼんやり気づいていた。

年相応に遊びながらも、そこから出来るだけ「何かできるリターン」を取ろうとするクセが、何となくついていた。

受験は育った地域内にある大学を、5教科7科目学んで受けることに違和感がなく、どこかワクワクしていた。

ちょうど受験期の前から数年、育った地域を離れて、思い入れの全くない他地域にぼんやり住んでダラダラと周りに合わせていたからか、

本来育った価値観に帰って、大暴れできる安心感があったのかもしれない。

いっぽう、育った地域の実情を、親とその地域の大人から早々に知っており、

「あなたの育った地域は、色々な人が色々な他所から疑いもせずここを目指してくる場が複数ジャンルであるから、常に目の前の物事は一旦疑いなさい」

というスタンスが自動的に組み込まていたのも事実だ。

もっと好き放題暴れるには、親や地域の価値観の外側に出ないことには、なんだか気恥ずかしく不自然な感覚があったのだ。

泥臭い大人に囲まれ、その泥臭さがむしろ洗練された実績を出しており、自然体で物事を見ていた人たちばかりだった。

だからこそ、

「価値観を一本槍にして、本当に自分にリターンがあるの?それってリターン以上に面白い?満足する?」

という疑いが常に自分にあったのだろう。

都内のど真ん中のわりに、泥臭く動くことが大事だとわかっていたからこそ、

大学でがっつり学ぶ基礎として、やりたいこと・得たい立場の両取りを大事にした。

その前提で、英語と数学を軸に最重量級の科目構成に対応し、ありがちな「数学なしの3科目以下」という安易な選択肢には一切関わらないことに決めた。

あらかじめトップ層の下限を下調べしていたが、そのラインをクリアすることが、好き放題タテヨコ展開できる基礎になり、この先の人生に明らかにプラスだと直感していたからだ。

おかげで「数学が使えて英語が出来るとあっさり学部入試をパスし、かつアカデミックスキルも希少価値も急激に高まり、その先は困らないのだな」と恩恵を実感した。

更に、その恩恵に常に「疑いなさい」を掛け算し、結果として自分の進学する選択肢でも、常識を疑った。

自分が入学大学を選んだ基準は、

・学生数が大学教授の数に比べて少なく、いずれも双方向的でモチベーションが高い

・入る前も入ったあとに勉強がハードであり、苦手科目から逃げない・そのような人が少ない・歩留まりが良い
(入試で燃え尽きおらず、講義ノートや過去問コピーが単位取得で通用せず、議論と読書が多く、サークルや飲み会のような群れゼロで過ごせる環境)

・卒業生が、基礎力とインパクトを掛け算した活躍をしており、常識にとらわれないことをよしとする
(人文科学・自然科学・社会科学の3つが揃う、予備校講師や塾講師や資格浪人どまりの人が皆無、スポーツ推薦なし、理系・文系を自由に選べる環境)

・他言語と数学が使える環境である
(最低でも英語でアカデミックスキルを得られ、大学レベルの数学や自然科学が誰でも学べる環境)

という「普通に育っただけでは得られない環境を取りにいく目的」があった。

このような、遠回りとしか言えない大学選びをする人は、超少数派どころかほぼゼロである。

それでも、これぞ王道として居場所があるという予測が当たったのは、また面白かった。

 

キャリアの話。

データ分析が、単なるもの作り代行ではない「特殊部隊的に、権限と格式のある仕事」だと知ったのも、この遠回りする選び方があったからこそである。

そもそもだが、キャリアを伸ばし、独自性を高めるには、遠回りしてでも断絶を乗り越えるしかない。

マーケティングで言うキャズム(市場開拓に伴い乗り越えるべき断絶や障害)が、これにあたる。

キャリアもマーケティングも、果ては組織マネジメントも、断絶を乗り越える必要がある。

アナリストという仕事を身をもって教えてくれた師匠は、大学の先輩であり、当初は臨床心理学の研究者として、国の研究所で宇宙飛行士の燃え尽き症候群を研究していた。

とある予期せぬ事情で臨床心理学を離れたあと、ITエンジニアを経て、アナリストに転じたのである。

その予期せぬ事情とは、決してプラスと言える物事ではない明らかな断絶なのだが、そこからアナリストとして昇進を重ね、業界をリードしているという事実は揺るぎない。

予測について「なぜか当たっちゃうんだよね」「大局観が大事だよ」とかつて言っていたが、

これは単なるデータから指標を予測するより、当事者である人の動きを見て予測するほうが当たるという、全く別ルートの視点で書かれた戦略本で言われていたことと符合する。

心理学とアナリストという、断絶している異分野が見事に結びつくことで、その分野を底上げするほどに大きく成長したのである。

私はこの事実を大学在学末期に知り、数理統計学をコアにアナリストという分野を捕まえつつ事業立ち上げを経験し、

通常なら全くつながらない製造業や、FP&Aや、組織立ち上げを経て独立したのだが、これも断絶がもたらした成長だと言っていい。

 

現実解。

つまるところ「この組み合わせはそもそも存在しない」というもの同士の結合からでしか、成長しない。

イノベーションとは「新結合」であり、

一般に「迷ったら遠回りを選べ」「迷ったら損するほう選べ」とよく言うが、

これはまだ誰も見たことのない組み合わせを得て、プラスに突出するという、

答えのないところに面白く答えを発見する歩み方なのである。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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