「SNS上で当事者による事実をありのまま聞くことが増えてきましたが、その中に成長しきったベンチャー関係者による『MBAは意味ない』と発言がありました。確かに起業やゼロイチ立ち上げや事業の急成長を筆頭に、MBAで扱う『ケース』だけでは限界が見えたと思っていたのですが、この指摘について遠藤さんの考えや現実解はどのようなものでしょうか?」
もう10年以上前から「で、MBA仕込みの理屈はわかったけど、それでどうやって収益を出すの?」と言われてしまうケースはちらほら指摘されていました。
企業や事業の買収や売却(すなわちM&A)について、「実際に手がけたことがないなら黙っていろ」とMBAホルダーに言い放つ事業家も出てきています。
ゼロイチ立ち上げからの急成長が当たり前になり、商品・サービスの仕組み、組織の仕組み、テクノロジーとデータの仕組みが三位一体となったため、
特にMBAでは手の届かないテクノロジーと泥臭い事業の実態を筆頭に、組織や商品・サービスの一次情報がどうしても薄くなることで、限界が見えてきたのです。
そもそも、最初に本音があり、それが世の中で価値として流通するための機能が紐付いて、ビジネスの最上流工程が出来ます。
そこから少しでも下に進むと、
テクノロジーもファイナンスもマーケティングは価値を流通させる手段でしかないとわかりますし、
これらの分野はそのまま、CIO/CTO、CMO、CFOの分野に流れ着きます。
いっぽう、MBAは主にCFOとCMOに行き着くものの、この2つは既にテクノロジーの支配下にありますね(FP&Aもマーケティングもこのルールは共通していて普通なら技術開発はできません)。
とすれば、「テクノロジーでカバーできちゃうからMBAいらないんじゃね?」という発想は、もはや必然と言わざるを得ません。
まずはこの事実と向き合い、限界を認めた上で、本音に寄り添う必要があると考えます。
現実解。
逆から捉え直してみましょう。
ヒトの本音を起点に、
テクノロジー、商品・サービス、組織…について、
バックキャストすれば、自ずと行き着く先が見えます。
本音をカタチにするのだから、御託を並べる必要はありません。
淡々と、本音を起点に「作り手」になればいいのです。
追記。
目下、中央経済社さんの『旬刊経理情報』の連載でちょうど「作り手」になる方法を書いていますが、
それはFP&Aやデータアナリストや、ほか少しでも伸び悩んだりテクノロジーで不安を感じる人に、
「次に何をすべきか?」を見出すヒントを届けるためです。
それだけ動きが早いゆえ、常識を知った上で、常識を乗り越えて先回りしていけば対処しうるのもまた事実です。
追記の追記。
理系文系などそもそも問わないリベラルアーツがもてはやされる理由は、ここにあります。
とても古典的ですが、まさに温故知新です。
boxcox.net、遠藤武。