「TOEIC LRのスコアが800くらい」
と一般に言われているが、
スコアではなく中身で言うなら、
「英語で学び、英語で議論やプレゼンやペーパー執筆ができる」
ことが、ビジネスで英語を使いこなせる下限だ。
口先の上っ面だけでしかない英語や、
英語しかできないというケースは、
本質的には何の役にも立たないか、
英語で知的生産ができているのではなく、
日常会話の延長でしかない。
要は、ビジネス英語とは、
大学や大学院で少人数の講義に参加できる(=リサーチスキルがある)と言い換えていい。
リサーチスキルがあれば、
議論から逆算した調整や交渉ごとも可能であり、
また格調高い英文を読んだり、
科学書や契約書や法律・基準・規定といった分野にも対応できる。
更に言えば、英語で書かれたフランス語やドイツ語や中国語などの、
語学書を読みこなすことも可能だ。
英語力とは本来は「英語を学ぶ」のではなく、
「英語で学ぶ」ためにあるのであって、
英語から雪だるま式に知見を広げることが論点だ。
大学時代にアカデミックスキルとはそうやって鍛える事実を思い知り、
世界のトップ大学では英語ネイティブ向けに、
「アカデミックスキルとしての英語」
を鍛える必修授業が大昔からある事実も知った。
(言わずもがな、受験英語だけでは非常に厳しい。)
そのおかげか、
アナリスト時代に、
北米や欧州発の英語で書かれたレポートや記事をゴリゴリ読んで、
統計モデルに反映させながらインタビューを行い、
市場の予測を繰り返していたが、
大学のリサーチスキルとアカデミックがそのまま活用できた。
アナリストの師匠の動き方から学び、
「これならいける!」と機微を読み取っていたが、
アカデミックスキルはそのままビジネススキルに転用でき、
このような英語運用能力はそのまま知的生産に反映する。
これを満たしていると、
自ずと800〜900から満点の990レベルといったように、
実力がスコアをカバーするようになる。
そもそもこうやって実力をつけていけば、
TOEFLやIELTSにつながり、
やがてスコア自体があまり意味をなさなくなり、
移籍や転職では困らなくなるのだが。
逆に言えば、
スコアが出ていても、
「議論はおろか会話がからきしです」
「契約書も規定や基準も使いこなせません」
「論述はおろかメールを書くのも厳しいです」
「科学技術や人文系の素養や、他言語の素養がありません」
という状態は、キャリアを考えると物足りない。
実際にビジネスの文脈では、
「道案内ができる」「会議の時間と場所をアナウンスできる」
だけという認識では、
そもそも日常会話どまりで外資はかなり厳しい。
とはいえ、道案内やアナウンスのような決まりきったテンプレートを、
「ゴム印鑑」のように使い回し、
コミュニケーションの可動域を広げていけば、
「この表現は他でも使い回せるぞ」
「こういう言い方が相手に通じたぞ」
と気づいて物事を抽象化・モデル化できる。
この恩恵は計り知れないし、
私も大学在学中から切れ味を実感してきている。
現実解。
コミュニケーションとは、
壁を乗り越えるための「対話」である。
アカデミックスキルとして、
「学ぶために鍛えていく」というスタンスで、
ビジネス英語を上位互換する形でカバーできる。
boxcox.net、遠藤武。