分析:成長できない状況からも学ぶ。

daily11 スモール分析。

成長のための指南を経営レベルや組織レベルで行なっているけれど、

問い合わせ段階にて、規模の大小問わず「この前提のまま無理に成長しなくてもいいんじゃないの?」というケースが出て来る。

この場合は、以下のような成長できない状況から脱するか、そのような状況に陥った組織を避けるしかない。

あなたが転職先を探すサラリーマンでも、組織を成長させたい経営者でも、商品やサービスを買ってほしい事業主やセールスパーソンの場合でも、これは共通している。

 

成長できない状況。

(1)市場がない下請けどまりである

(例:製造業や運送業のような、実態は大手の一部門のような組織。人材をアサインするだけの、横展開しづらい制作代行ビジネスモデルも含む)

(2)組織のトップが事実を無視している

(例:意味のない海外展開や、関連のない新規事業にばかり目を向けている。(1)のような市場のない下請けどまりも含む)

(3)組織のメンバーに素直さが欠けている

(例:営業部門が実権を握るわりに聞き分けも知見もないケースや、部署を問わず「部下なし部長」のようなプライドと年齢だけ高い人材が多い企業に見られる)

 

まず(1)の場合は、さっさと脱下請けするなり、あるいは横展開しやすくするしかない。現状の競技の延長線上には何もないと知る必要がある。

新しい市場に打って出るには、そもそも組織をゼロ立ち上げするレベルのエネルギーが必要だ(海外展開がうまくいかないのはこのためだ)。現状のビジネスモデルが立ち行かなくなっているなら、それはオワコン化の始まりである。仮に財務体質が悪くないとしても、売れないモノや粗利が低いものは、事業再生に行き着くのが実情だ。

どのような状況だとしても、現状の競技と近しく、かつ勝ちやすいところから攻めていくのが鉄則である。

 

(2)や(3)は、立ち居振る舞いの話である。事実を知って素直に行動していれば、勝つための準備は9割完了している。その9割を捨ててしまっているのがこの状況だ。

ストレートにお伝えしてしまうと、(2)や(3)の状況を放置して成長することは不可能である。複数のオーナー企業や、複数の最大手企業の内情を見てきた一次情報から申し上げると、成長する気がない状態はどうすることもできない。

学ぶ気がない人が英単語や年号や化学記号を覚えられず、数式を使いこなすこともできないのと同じだ。

 

現実解。

後ろ向きなことを言い続けたいのではなく、このような実情は、学ぶ人にとっては有利だ。

どう少なく見積もっても、デイリーレポートをここまで読む時点で、読んでいるあなたは素直な勉強家である。

何が起こるかわからないVUCAの時代は、妄想と行動を重ね、素直に学んで勝ちやすい土俵を用意したもの勝ちである。

人間と社会とテクノロジーの3軸が前提にあり、学んで想像して組み合わせることが、そのまま勝ちやすい土俵に直結する面白い時代だ。

(1)(2)(3)の放置という最悪の状況からも、実は学べる。

これは学級崩壊と同じで、放置すると勝ちやすいところがどこにもなくなる前兆だ。身売り・リストラ・事業再生や、最悪の場合廃業もありうる。ゆえに、あなたに嫌な思いを抱かせることもあるだろう。その嫌な思いが大事なのである。

嫌な思いをしたのなら、それはその組織の過去の栄光や良心といった残り香が、あなたに向けて「我々のような嫌なヤツの真逆を取れば、自ずと成長して勝てちゃうよ!」と囁いているだけなのである。

どんなダメな空間にも、過去の栄光は必ずあると仮定し、自分を守るためにも肩の力を抜こう。

勇気があるとは、大多数と異なる発想や妄想や行動を持つことなのだから、大多数がイライラカッカしているときこそ、肩の力を抜いているくらいでよい。

大胆不敵にそう捉え直せば、有利に進むための勇気が出てくるのではないだろうか。

 

追記。

フィクションでも事実でもいいが、武術の神様のような人や、何らかの分野の達人は肩の力を抜いて淡々としており、伸び方を冷静に見定めている。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
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■遠藤武のやっていること■
・書籍と連載記事の執筆
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◆遠藤武の連載執筆
中央経済社『旬刊経理情報』誌にて見開き2ページ連載「データ分析の森」を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています。
(2025年12月に連載80回達成)

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