上場を果たした収益性の高い大手ウェブサービスが、
いつのまにか大赤字体質になってしまったり、
ウェブ上でとんでもなく流行った物事や人が、
いつのまにか必死さを隠せず落ちぶれてしまったりすることが多々ある。
この理由は、「リアルの対応がからきしダメだった」という一言に尽きる。
「インターネットが好き」「プログラミングが好き」
そのような触れ込みの人が10年くらい前まで目立った。
これは先行者利益だったというのが事実だ。
好きなものがあることは素晴らしいし、
好きなことで活躍できることはとても素敵だが、
これらに関わる人口が増えて層が厚くなり、
先行者利益は限りなくゼロに近づいた。
ウェブもプログラミングも、AIも統計学も、
テクノロジーの目新しさに対し、リアルな人間活動を掛け算することが本質である。
とすると、先行者利益だけで動いて実績が出た場合、
テクノロジーの目新しさという先行者利益がゼロになると、
リアルな人間活動だけがものを言うことになる。
「ウェブ系」と呼ばれる物事は、
・ウェブメディア(雑誌や新聞やテレビと同じ)
・ECサイト(店舗と同じ)
・ウェブアプリ(電子機器や計算機と同じ)
という、リアルな人間活動を支える物事に行き着く。
リアルな人間活動の場合、本音から逆算してコンセプトデザインを打ち立て、
そこから動線を組み、感動していただくことが全てだ。
ディズニーリゾートを思い浮かべてみればわかるはずだ。
いっぽう、本音や感動の視点が薄いまま、広告を無理やり見せて課金したり、無料ユーザを排除すると、
単なる売り手の都合が透けて見えてしまい、嫌われる。
これはちょうど、しつこくクロージングを迫ってお困りごとより、自社のノルマを優先する営業マンと同じだ。
もともとは本音の理念があり、世の中のお困りごとを解決するために起業していたのだろう。
とはいえリアルに弱いままウェブの目新しさだけで規模が大きくなってしまうと、そもそもの実力が弱いため、
どこかで突然「その規模から落ちぶれたくない!」という目先の発想にとどまり、
規模の経済をむりやり保とうとする「押し売り優先」に変わってしまうのだ。
出資している投資ファンドが、そのような目線で動いているため、これは避けようがない。
「押し売り優先」の見苦しさで、ウェブサービスはネチネチした営業マンのように嫌われるのだ。
営業マンのように嫌われるのは、ウェブ上で騒ぎたてる人についてもまったく同じである。
炎上して立ち居振る舞いの悪い人は、規模の経済がないと落ちぶれるため「押し売り優先」が作用する。
要は先行者利益が消えたり、賞味期限が切れたということだ。
規模の経済を否定する気は毛頭ないのだが、勝てる土俵や別ルートを選べる実力がないゆえに、
「押し売り優先」で、リアルの弱さをカバーするしかないのである。
現実解。
「強い側が勝つ」「先行者利益やネームバリューだけだと実力が薄れる」
ということに他ならない。
結局は、少し遠回りしてでも基礎を大事にして、
リアルで対応できる実力があるほうが、
コンスタントに成長していけるんだよね。
boxcox.net、遠藤武。