「経営について、まずどこから学べばいいですか?」
せっかくだから、「面白い」とか「好き」を掘り下げて学ぼう。
自分の場合、思い返すと、ゲームやマンガの業界から経営を知った。
「失意泰然、得意冷然」という言葉は、「組長」と呼ばれた任天堂の山内溥社長が大切にしていた考え方だ。無借金経営や、法務部が強いという特徴もある。これらは、高校生くらいまでで読んだゲーム雑誌で知った。
同じ任天堂で言うなら、「枯れた技術の水平思考」という素晴らしい言葉もある。昨今でAIが取り沙汰されて久しいが、AIの技術の根幹は統計学にあり、これは枯れた技術の水平思考である。
また任天堂初心会という過去のゲームソフト流通形態については、良くも悪くもとても強固だったと言える。経営を握る立場からすれば、流通が営業CFのカギとなる。
流通の座組み・仕組みを用意したことは極めて重要であり、慧眼だったと評価できる(そのせいでゲームソフトの価格が高止まりする不経済があり、中古ショップやコンビニ流通にシフトしたという経緯もある。それだけ調整が効きづらかったのだろう)。
このほかで言えば、スクウェア・エニックスは元々はエニックス(ドラゴンクエストシリーズ)とスクウェア(ファイナルファンタジーシリーズ)という別々のライバル企業だったが、それぞれの事業(出版・映画・流通)に諸事情があったために合併した(と言われている)。
思い返せば、かつてゲームもマンガもがっつり楽しんでいた立場として、その内容の変貌にいくらか違和感を抱いたことがあった。
それだけ既存の流れでは太刀打ちできなくなったのだろうと察してはいたが、今となっては大小問わず経営の一次情報を知った立場として、「なるほど」と言うしかない物事ばかりである。
現実解。
物事の裏には、上記のような経営の話題が尽きず、思わぬところから経営の流れを学ぶ機会があると断言していい。
肩肘を張る必要はどこにもなく、ただ好きで面白いことと掛け算して学ぶことができる、珍しい分野なのだから。
boxcox.net、遠藤武。