「仕組みよりも、成長や進化することが大事である」
そのような言葉を聞くことがあるが、これは片手落ちだ。
仕組みは、そもそも解きほぐすことが必須であり、直感に反して、そうとう懐が広い。
それゆえ知的好奇心をベースとした成長の機会が必ず含まれている。
仕組みの事例のお話。
現代では、誰もがスマホや無線LANを使っている。
みんなが電波(電磁波)と無線機による仕組みの恩恵を受けているのだ。
電波は、物理学がもたらした仕組みである。
電波なしには、科学も行政もビジネスも成り立たないし、日常のコミュニケーションも難しい。
電波の使われ方を遡ってみると、戦中〜50年前までの無線の仕組みは、ラジオ放送・軍用無線・アマチュア無線くらいだった。
さらに時系列を過去に遡っていくと、120〜160年前の産業革命期まで行き着く。
イタリアのマルコーニは、1901年に大西洋2000km超えの無線電信実験に成功した。
ドイツの物理学者ハインリッヒ・ヘルツは、1888年に電磁波を発見した。
イギリスの物理学者マクスウェルは、1864年に理論的に電磁波の概念を予想した。
面白いことに、ヘルツは「マクスウェル先生の理論を証明する」という観点から行動し「(電磁波の発見は)何の役にも立たない」と述べたとされる。
いっぽうその後、マルコーニは「有線電信を無線にできるのでは?」という観点から行動したゆえに、世の中が新たな仕組みとともに動いていった。
仕組みの真髄は、この「いけそう感」にあるのだ。
誰かがふと「これだ!」という観点で妄想する。
解像度の上げ下げで仮説を立てながら、行動を重ねる。
悩んだ過程で、仕組みをバラしては組み立て、
「面白そう!」「こうしたい!」「実はこうでは?」
という観点から、光の当て方による試行錯誤で「いけそう!」に変えてしまえばいい。
役に立たないように見えて、実は役に立つという懐の広さがあり、
知的好奇心が人間を包み込んでしまうと、自ずと「いけそう!」が出て来る。
現実解。
ひとつの既存の仕組みについて見てみると、バラして組み立ててきたという、知的好奇心の痕跡が浮き彫りになる。
仕組み自体が面白く、仕組みをバラして組み立てる過程が必ずあり、そこにワクワクする誰かが必ずいる。
「行けそう!」が出て来るのは当然のことであり、仕組みにそれだけの懐の広さがあるのだ。
追記。
まずは、素直にワクワクするだけでいいんだよ。
boxcox.net、遠藤武。