どんなに他人の行動にイラつかされても、
「くたびれているんだろうなあ」
の一言で、こちらから許してしまえばいい。
現実解。
人をイラつかせる言動を取る人や、
しつこくネチネチ詰め寄って来る人は、
ストレートに言ってしまえば、くたびれている。
思考することがまともに出来ない状態なので、
「大丈夫かな、この人…」と思われてしまうようなことを、
不用意に繰り返してしまうのだ。
話が噛み合わないまま高飛車でねちっこく売り込む自称コンサル、
まったく見込み客でもないのに電話を突然掛けてくる保険の営業マン、
マネージャーでありながらマネジメントができずにキレ出す管理職、
例は他にもたくさんあるが、
これらは「大丈夫かな、この人…」の、
典型例だと言っていい。
脳みそを使うことができないコンサルタント、
営業マンとは名ばかりの全く売れない営業マン、
部下の管理以前に自己管理のない名ばかり管理職、
これらは私が直接見てきた数多くの事例や、
私を信頼して相談してきた内容に基づいているが、
どれも「これジョークでやっているんだよね?」という、
目を覆いたくなるような物事ばかりだと断言していい。
それもそのはず、人間は何らかの形で追い込まれていると、
思考力が著しく下がってしまうのである。
どんなに優れた人でも、追い込まれていたり、
環境から悪影響を受けてしまうと、
普段のパーソナリティでは絶対に取らないような行動に、
ついうっかり出てしまう。
最もひどい例の一つを挙げよう。
日系企業の平社員から、企業の再編の影響で外資化し、
外資事業会社の新米シニアマネージャーに就任。
毎日の帰宅が夜1時を回るくらいの激務を余儀なくされ、
思考力を著しく低下させてしまい、
ろくに引き続き書面も書く時間がなく、
中途で入った部下に仕事を丸投げして上手く行かないことをネチネチ詰め、
上手く行かないことをすべて部下のせいにしてパワハラまがいの言動を繰り返し、
自分ではパワハラにも気づけず、部下は心的ストレスで3ヶ月でやめてしまい、
新米マネージャーの本人はそれ以上にショックを受けた…という事例を知っている。
はっきり言うが、上司は上司の機能を果たしていないというのは、
組織としての責任を果たしていないことと同義であり、
引き継ぎを的確に行う責任を果たしていないのは、
組織として完全にガバナンスがおかしいということになる。
この新米マネージャーは最難関資格ホルダーであり、
パワハラやパワハラまがいの行いにどのようなリスクがあるか、
プロとしてよく知っているにもかかわらず、
このような結果を招いてしまっているのである。
何も「パワハラは悪!会社と上司は責任を取れ!」と、
誰でも言える正論を言いたいのではない。
もちろん会社と上司の責任を否定してはならないし、
疲れ切っていた上司も擁護されるべきだと考える。
本質は、誰が悪いと言うより、
「くたびれている」の一言に尽きると言っていい。
『愛は脳を活性化させる』という本があるが、この真逆で、
愛がない状態は、脳を思いっきり低速化させてしまうのだ。
話をもとに戻そう。
いちいちイラつかせてくるネチネチした、
「大丈夫かな、この人…」という人は、
「くたびれているんだろうなあ」と解釈しておき、
距離を取って接するか、一切接しないようにしておけばいい。
自分がくたびれないでさえいれば、
それだけであっさり許す余裕ができるのだから、
くたびれずに成長して、許す側に回るほうが幸せだ。
boxcox.net、遠藤武。