はっきり言ってしまうと、
物事が「当たり前」と思い込んでいる人や、
そもそも大して頭を使っていない人ほど、
ちょっとした物事に感謝を伝える回数がゼロである。
そのような人は、実力もゼロだ。
「サラリーマンにスキルなど無い」
「サラリーマンのスキルはマイナスだ」
そう喝破している人がいるが、
これは実は正しい。
口頭で感謝も伝えずに、
「助けてもらうのが当たり前」
みたいに振る舞う人が相当多い。
そうなってしまうと、
ろくに学べないんだよね。
若手でまともな人はさておき、
40〜50代くらいで、
これ以上役職が上がらないサラリーマンほど、
かつ競争にさらされていない分野ほど、
自分のスキルなどいらなくなってしまう。
「他の誰かにやってもらう」
が当たり前なんだもの。
要は、完全に自分を放置しているのだ。
自分のスキルではなく、
所属先企業が用意した押し付けの仕組みで、
結果的に動いているだけだから、
すごく小さい既得権がそこにある。
もちろん、自分で作ったわけでもない。
だからこそ何も考えていないことが許されるのだ。
許されるというよりは、
放置されているだけかもしれない。
全ての物事をぼんやり放置しているのだから、
普段から無感動・無表情だ。
そんな人に限って、
所属先企業が経営危機でなくなってしまったら、
ただひたすらガクブルするしかない。
転職や移籍する勇気もスキルもないし、
ろくすっぽ学べておらず、
学歴も職歴も自信がないものだから、
自分は弱いという事実に、
明確に向き合えていないのである。
組織の中では、
中間管理職や部下なし部長みたいな具合で、
権限がないもののほんの少し偉そうに出来るけど、
根本的な立場の弱さは、
年功序列で隠れてしまっている。
これと逆に、
年功序列に近い要素が残っていても、
実力主義が明確にある分野を経験していたら、
年齢関係なしに経緯を払う。
助けや内容に感謝もするし、
感謝を超えてピン!と心が動くことが基本だ。
例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)のような分野は、
もはやコンサルティングファームだけでは対応しきれていない。
スタートアップと言われる事業会社が、
データの扱いに長けている、
事務方・技術者関係なく、
最先端でやっていることが、
「ツールを使いながら、計算機科学(コンピュータ・サイエンス)や数理統計学を扱える」
という前提に立っている。
特に北米や欧州の外資企業で、
経営戦略や経営管理を担うポジションが、
データベース(RDBMS)を動かすためのプログラミング言語(SQL)を、
最低限知っている必要があるという事実がある。
自分のケースでも、そのようなポジションを経験した。
当時自分が勤めていたその企業は、
創業から5年ちょっとで、
全米での年売上高が10億ドル(1,000億円)まで達していた。
この話を大手コンサルティング会社のパートナー(経営者)を務めた人と話したら、
見事にピン!と食らいついて、
徹底的に考え方をアップデートし、
発想の仕方を根本から変えてクライアントに接していた。
60を超える人だが、
それくらい変わり身が早いのだ。
勉強不足が構造的に起こることなど、
よくある話だが、
だからこそ構造の変化を見抜いて、
素早く変わって勉強しきれる人こそが、
そもそも上にいるという好例である。
計算機科学や数理統計学の話を、
日本に数多くある製造業に合わせて論点を出すと、
「オペレーションズリサーチ」が一致する分野だ。
このほか医療なら「疫学」で近似してもいいし、
土木なら「都市工学」で近似できる。
本来なら、出来るための基礎が、
構造から逆算して発見できるのだから、
そのありがたみに素直に感謝するだけで、
スキルはいくらでも楽に作れるんだよね。
こうやって泥臭く得たスキルは、
ピン!と来る人間関係を伴うので、
実はスキルを超えて人間関係を円滑にできるほど、
チャーミングになれる。
成長する人は、合理性がありながらも、
合理性を超えて直感的に物事を捉えられるのだ。
感謝とスキルがない人は、
合理性だけで過ごしていることを、
まず疑うといい。
boxcox.net、遠藤武。