感謝がない人、スキルがない人。

daily6 人と技術と成長。

はっきり言ってしまうと、

物事が「当たり前」と思い込んでいる人や、

そもそも大して頭を使っていない人ほど、

ちょっとした物事に感謝を伝える回数がゼロである。

そのような人は、実力もゼロだ。

 

「サラリーマンにスキルなど無い」

「サラリーマンのスキルはマイナスだ」

そう喝破している人がいるが、

これは実は正しい。

口頭で感謝も伝えずに、

「助けてもらうのが当たり前」

みたいに振る舞う人が相当多い。

そうなってしまうと、

ろくに学べないんだよね。

若手でまともな人はさておき、

40〜50代くらいで、

これ以上役職が上がらないサラリーマンほど、

かつ競争にさらされていない分野ほど、

自分のスキルなどいらなくなってしまう。

「他の誰かにやってもらう」

が当たり前なんだもの。

要は、完全に自分を放置しているのだ。

自分のスキルではなく、

所属先企業が用意した押し付けの仕組みで、

結果的に動いているだけだから、

すごく小さい既得権がそこにある。

もちろん、自分で作ったわけでもない。

だからこそ何も考えていないことが許されるのだ。

許されるというよりは、

放置されているだけかもしれない。

全ての物事をぼんやり放置しているのだから、

普段から無感動・無表情だ。

そんな人に限って、

所属先企業が経営危機でなくなってしまったら、

ただひたすらガクブルするしかない。

転職や移籍する勇気もスキルもないし、

ろくすっぽ学べておらず、

学歴も職歴も自信がないものだから、

自分は弱いという事実に、

明確に向き合えていないのである。

 

組織の中では、

中間管理職や部下なし部長みたいな具合で、

権限がないもののほんの少し偉そうに出来るけど、

根本的な立場の弱さは、

年功序列で隠れてしまっている。

これと逆に、

年功序列に近い要素が残っていても、

実力主義が明確にある分野を経験していたら、

年齢関係なしに経緯を払う。

助けや内容に感謝もするし、

感謝を超えてピン!と心が動くことが基本だ。

例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)のような分野は、

もはやコンサルティングファームだけでは対応しきれていない。

スタートアップと言われる事業会社が、

データの扱いに長けている、

事務方・技術者関係なく、

最先端でやっていることが、

「ツールを使いながら、計算機科学(コンピュータ・サイエンス)や数理統計学を扱える」

という前提に立っている。

特に北米や欧州の外資企業で、

経営戦略や経営管理を担うポジションが、

データベース(RDBMS)を動かすためのプログラミング言語(SQL)を、

最低限知っている必要があるという事実がある。

自分のケースでも、そのようなポジションを経験した。

当時自分が勤めていたその企業は、

創業から5年ちょっとで、

全米での年売上高が10億ドル(1,000億円)まで達していた。

この話を大手コンサルティング会社のパートナー(経営者)を務めた人と話したら、

見事にピン!と食らいついて、

徹底的に考え方をアップデートし、

発想の仕方を根本から変えてクライアントに接していた。

60を超える人だが、

それくらい変わり身が早いのだ。

 

勉強不足が構造的に起こることなど、

よくある話だが、

だからこそ構造の変化を見抜いて、

素早く変わって勉強しきれる人こそが、

そもそも上にいるという好例である。

計算機科学や数理統計学の話を、

日本に数多くある製造業に合わせて論点を出すと、

「オペレーションズリサーチ」が一致する分野だ。

このほか医療なら「疫学」で近似してもいいし、

土木なら「都市工学」で近似できる。

 

本来なら、出来るための基礎が、

構造から逆算して発見できるのだから、

そのありがたみに素直に感謝するだけで、

スキルはいくらでも楽に作れるんだよね。

こうやって泥臭く得たスキルは、

ピン!と来る人間関係を伴うので、

実はスキルを超えて人間関係を円滑にできるほど、

チャーミングになれる。

成長する人は、合理性がありながらも、

合理性を超えて直感的に物事を捉えられるのだ。

感謝とスキルがない人は、

合理性だけで過ごしていることを、

まず疑うといい。

 

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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