「データ分析って、そもそも何で役に立つのですか?」
網羅性があるからこそ、データ分析が役に立つのである。
多変量解析でモデリングを作って定量的な予測ができるのも、
トレンドを読むことで定性的なシナリオが描けるのも、
複式簿記のルールに則って財務諸表を作り経営を読み解けるのも、
一定のテーマに即してデータを網羅しているからこそ可能な技だ。
テーマを立てて網羅するということは、
以前に「このデータは何の特徴もないよね」と思われていたデータや事実を、
テーマに即して新たにクローズアップすることである。
例えば飲食業の需要予測について、商圏人口の趨勢を用いていた程度だったが、
インバウンド需要増加に応じて家賃がホテル稼働率が増加していることに目をつけ、
新たな需要を取り込むといった具合に実情を読み解くのだ。
何が何でも事細かく全てを完全網羅する必要はないが、
コストパフォーマンスを意識しつつ、実情を描くに足るくらいの網羅は必要だ。
網羅することは難しい場合、網羅の要素に仮説を入れてよい。
例えば、新しいデータベース(NewSQL)の市場は、現時点で明確に定まっていないため、仮説として既存のデータベース(RDBやNoSQLやDWHなど)と対比する必要がある。
網羅の中身はテーマの置き方次第で大きく変わり、特にデータ分析をする側のセンスが強く出る。
網羅から紡いだ洞察が役に立つと、その発信者は極めて信頼される。
現実解。
網羅するということは、全体像がわかることであり、その道のプロということになる。
仮説込みで網羅するには勇気がいるため、出来る人はおろか、やる人すら少数派だが、
データ分析が熱い視線を浴びるのは、全体像を知るプロの証に向けられた期待だと言って差し支えない。
プロなら、堂々と洞察を出そう。
boxcox.net、遠藤武。