「顧客のために仕事なんて飽きる。もったいない」
ふた昔前には、そのような一言で大学に残り、経済学を志した学者がいたそうだ。
確かに創造性は、情熱の源だと頷ける。
もっとも、この発想はすでに一昔前には通用しなくなっており、
経済学を含む計量社会科学は既存の物事の批評どまりで、実務家やサラリーマンの延長と気づかれてしまった。
要は、ふた昔前の創造性は、今や創造性として弱体化したのだ。
というのも、技術開発をベースとした事業立ち上げが目立つようになったためだ。
同じく数学や統計学を使う分野であっても、技術開発要素の薄い社会科学の研究は、下位互換に追い込まれてしまった。
技術開発が本当にすべてを上位互換し、ビジネスを展開しているかと問われると、
もちろん「?」ではある(ディープテックや技術ベースのベンチャーは大企業の研究開発と同じだ)が、
技術開発要素の薄い分野が下位互換に追い込まれている大局はそのとおりである。
現実解。
とすれば現実解は、純粋に「誰も見たことのない側(そのような物事を作る側)」に回るしかないのだ。
他の誰もが見たことのない価値を出すことは、既存の分野のスキを突き、斜め上から攻めるしかない。
追記。
創作や研究や独立に一番大事な独自性に目を向ければ、既存の物事を批評し踏襲するだけだと「現状追認で退屈だな」と感じるのは当たり前だろう。
逆に言えば、退屈しないように品質を作り変えてしまえば、ことは足りる。
追記の追記。
自分が仕事としてリサーチアナリストを選んだのは、研究職・分析職・テクノロジーの技術開発・文筆と創作をすべて網羅していて、退屈しないからだった。
技術開発とゼロイチ事業立ち上げという創造に関われるとは思っていなかったけども、面白いことで満たしたおかげで、運がよくなった。
boxcox.net、遠藤武。