SNS上で「統計学はプロダクトを作れない」という意見が出てきている。
これは、半分本当であり、半分は嘘だ。
半分本当である点。
統計学は「解釈や評価のためのツールに過ぎない」という一般論にとどまるのが実情だ。
リサーチアナリストやエコノミストとして分析や洞察できても、その洞察そのものはニッチ産業向けであり、プロダクトとしては売れない。
もう半分は嘘である点。
統計学を使って投資価値評価を行うサービスを作って世に出した立場として言うと、一般論はタコツボ化や分断でしかなく、ただの知識不足である。
古典的な方法だが、不動産鑑定や統計的品質管理のための多変量解析と、ヘドニック法という価格推計手法は、実用上は束ねることができる。
価格や品質がわかると喜ばれるケースがあり、その分析のスキームをそのまま(半)自動化して、仕組みを建て付けて売れば良いだけの話だ。
もちろん、データをどこから取ってくるか、誰に向けて売るか、どの分野を攻めるか、価格や品質ではなく予測結果をサブスクで売ると良いのか…など、大小さまざまな制約や発想はある。
そもそも「プログラミングコードを書いて、既存のソフトウェアやSaaSのように作って売らねばならない」という思い込みは、数学を生で扱える統計学は気にする必要はない。
「欲しい!」と手が上がるものや、自分が欲しかったものを作ればよく、固定観念を捨てるところから初めてみればよいのだ。
現実解。
統計学の関係者は、人間にしかできないことを狙おう。
分析そのものより、人間の本音から統計学のロボットを作る目線のほうが、面白いものね。
boxcox.net、遠藤武。