ストレートに言うと、仕事や勉強は、
「頑張る」にだけ依存すると負けると相場が決まっている。
というのも、基礎となるストックがない状態でいくら頑張っても、
不利な行動を強いられるためだ。
小中学校の加減乗除が使いこなせない人が、
高校レベルの三角関数や微積分に手も足も出ないのと同じだ。
基礎不足なら何をやっても始まらない。
それ以外の物事で、
「とにかく頑張ることは素晴らしい」
とお題目のように唱え、
不利な状況でつまずかされたまま、
転び続ける人は少なくない。
ここだけの話をしてしまおう。
実はこれは基礎不足のレッテル貼りであり、
戦意喪失させる常套手段だ。
先に成功している人が、
「あなたに足りないのは頑張りだ」
と言い出すことで、
その他大勢を「とにかく頑張る」に追いやり、
戦意喪失させ撤退させることなど、
日常的に行われている。
マーケティングもマネジメントも、
炎上もレスバトルも、
綺麗事を抜きにすると、相手を戦意喪失させていくことだ。
「日本人はほかの国よりハングリーさに欠ける。もっと発展途上国の人のように頑張るべき」
ということを言い出す人がいるが、これはそもそも根本的に無意味な発言である。
全体戦略で言えば、日本人として有利な場所で勝てばいいだけの話である。
ハングリーさを全面に出すか否かは、スタンスの違いに過ぎない。
ヒト・モノ・お金・情報のリソースの違いで言えば、発展途上国と比較することに全く意味はない。
実は最も強調すべきは、頑張りや努力が「無駄な努力」と無縁であるための、創意工夫である。
面白がって物事を進める熱量や独創性には、競争ごときではとうてい勝つことができない。
これは成功と成長を重ねる人なら知っているが、楽勝できて熱中できる土俵では、競争率は常に倍率1.0倍だ。
ということは、競争を煽り立てる人は、煽り立てることで自分が有利になるか、誰かの煽り立てに感化されているその他大勢なのである。
現実解。
これを聞いて「不平等だ!」と思うなら、あなたの感性は優れている。
ゆえに、不平等に腹を立てる必要など毛頭ない。
いちいち不平等に腹を立てるというのは、
不利な競争に駆り立てられてしまうだけだ。
そうではなく、競争の仕組みを知った上で、
自分が勝てる土俵で楽勝しにいけばいいのだ。
「あなたに足りないのは頑張りだ」
と言っている人も、自分が勝てる土俵で楽勝するためにそう発信する意図があるので、
まずはいちいち他人の土俵に乗らないだけでいい。
薄っぺらい炎上芸が流行るのは、実力がなくても有利に事を進められる土俵だからである。
その土俵はチンピラのギラギラファッションのようなものであり、
実力不足を隠すには十分だが、実力がないゆえにワンパターンだとバレている。
とすれば、自分がハマれる物事で中身を徹底して作り込んでしまえば、
「頑張る」という退屈なワンパターンの間隙を突くことなどたやすい。
追記。
スキの突き合いは、知的格闘技のようなものだ。
既存の土俵を書き換えたり再解釈して、自分の土俵を成長させることは、
「頑張る」の真逆にある、ただひたすら面白いディスカッションや批判的精神である。
boxcox.net、遠藤武。