「こちらに依存してくる割に、何も自発的にやろうとしない人に悩んでいます……でも離れられません。どうしたらいいでしょうか?」
私は立場上、このような共依存状態の悩み相談をよく受けており、過去にもそのような悩みを打ち明けられてきた。
そもそもだが、この相談をしてくる人は具体的にどんな人で、何の悩みだろう。
ひとつは「恋愛や結婚している人」の、連れ合いに対する悩みである。
もうひとつは「自分で会社を経営する人」の、部下に対する悩みである。
あまり明かされないため、意外に思うかもしれないが、
恋愛の悩みというのは、経営者や管理職が抱く悩みにとてもよく似ている。
私が経営者さんから聞くケースとして「まるで共依存状態の取引先なんです」というものがよくある。
「この人に去られては、私の会社は事業を展開できないのでは……。」
という疑心暗鬼に陥り、その状態につけ込まれるということだ。
場合によっては、上司・部下の関係が共依存状態ということもある。
そのまま恋愛や結婚生活の悩みになぞらえると、
「この人に去られては、私は生きていくことができないのでは……。」
という恐怖心と合致する。
これに打ち克つことは全くできず、もう完全にお手上げなのだろうか。
私は「必ず打ち克つことができる」と確信している。
まず、事実を直視して、データを分析するかのように客観視しよう。
「データ分析なんて自分には無理……」と思う人は、
まずは今の状況について「好き」か「嫌い」の2択で、とても大胆なぶった斬り分析をしてしまえばいい。
ぶった斬り分析のコツは、
「好き=秒速で好きと即答できるもの全て」
「嫌い=好き以外の感情すべて(可もなく不可もないを含む)」
というように、小学3〜4年生が好きな給食のメニューを即答したり、食わず嫌いして叱られる、自分勝手なものを目安にしていい。
小学生が、好きな食べ物を目の前にして、目を輝かせる状態を想像してほしい。
どんなに嫌なことがあっても、好きな食べ物をほおばれば、元気と自信が出てくるはずだ。
分析とは「斧で木を切り分ける」という語源があり、思いっきり切り分けることが入り口なのである。
そして、悩みの種である相手を、分析という名前のぶった斬りで、自分勝手に自信満々に見直していくのだ。
すると、このような自分勝手な思いが、浮き彫りになるはずだ。
「この人は、この部分をおそらく直すことができないな」
「この人が、この部分を直すことができて、まずそれを半年〜1年継続できたら、許そう。途中でダメなら、もう終わりだな」
その思いにそのまま素直になれば、全て事が足りる。
そのような人は、恋愛なら関係を切り、経営なら取引先を切る(部下なら評価が下げる)しかない。
それでもまだ「相手のことが気になって、そんな自分勝手にはなれません……」「どうしてもハードルが高いです……」というなら、それは自己肯定感が低い状態に囚われているだけだ。
誤解しないでほしいが、自己肯定感の低さを注意したいのではない。
あっさり別ルートに逃げてしまおう。
そうやって精神衛生を守ることは、素直に自己肯定感を守ることの第一歩だ。
好きな食べ物を出したことの続き。
別質問として、
「あなたがお腹ペコペコでもう身動きが取れないとき、大好物を悩みの種である人と喜んで半分こできる?」
「明日も明後日もそのあとも、あなたが傷付かず騙されず、喜んで半分こできる?」
という問いかけを出そう。
この質問に、一点の曇りなくyesと答えられれば、その相手を助ければいい。
もし少しでも迷うなら、あなたは大好物を取られた上に、
騙されて飢え死にしてしまうリスクがあるため、その相手をどこまで助けられるだろうか。
空腹で大好物を目の前にしてまで、助けたいと思うだろうか。
それでも迷うなら、まずは大好物を美味しくほおばってほしい。
いまこの場で、大好物を買ってきてもいい。
大好物をほおばりながら、思いと事実を、
思いっきり素直に噛み締めてほしい。
現実解。
要はあなたも相手も、どれだけ素直になれるかを質問しているのだ。
自分が素直になり、相手も素直になることが、
自己肯定感の第一歩であり、共依存状態を解消させる。
素直であれば、まだ成長と変化の望みはある。
素直さも自己肯定感もないというのは、関わるに値しない。
ビジネスでも恋愛でも、共依存状態に陥る場合、
淡々とせずやたらとねちっこい、素直さのない状態が多発する。
もう関わりようがなく素直でない人は、
いちいち不機嫌に突っかかって来たり、
いちいち言い訳で言い訳を塗り固めたり、
いちいち自慢話や昔話ばかりが出てきたり、
いちいち誰かのせいにして批判を繰り返したり、
いちいちお金の使い方が粗雑で態度が横柄だったり、
いちいちギラギラオラオラしたファッションや言動をしていたりと、
とてもわかりやすいシグナルを発していることを覚えておこう。
追記。
経営と恋愛がどこか連なっていると腹落ちできたら、
その人は活躍の場や発想を、思い切って変えてみてもいいと思います。
敬意を持てる人とだけ関わるのは、ビジネスの基本です。
boxcox.net、遠藤武。