独立して営業が苦手なのは、完璧主義に陥っているから。

データ分析ここだけ話。

「独立したけれど営業経験がなく、営業が苦手です、全然売れません……」

このような悩みは尽きず、私が数多く受ける相談だ。

この悩みの本質は、完璧主義に陥り、矛盾や非常識を避けてしまう点にある。

 

そもそもだが、勤め人や代理店の営業と、完全に独立した人の営業では、競技種目が全く異なる。

完全に独立して自分の価値を届ける営業は、矛盾と非常識を覚悟で商品とサービスを組み上げ、淡々と価値を送り届けることが本質だ。

顧客に向けて価値を送り届けるに際し、顧客がいないところからスタートという矛盾がスタート地点であり、

矛盾を承知で「これなら他の追随を許さず、独自の価値をコンスタントに出せる!」という要素を淡々と素早く探索することが全てだ。

合理的に考えると、ゼロイチ立ち上げでは「卵が先かニワトリが先か」で迷うことになる。

これを逆から捉えなおそう。

ゼロイチにおいて「卵が先かニワトリが先か」という発想をいちいち持つこと自体が、時間とお金の無駄だ。

この発想に陥る時点で、その人は独立に向いていない。これは向き不向きの話であり、無理して独立せず、サラリーマンか下請けのままで過ごすしかない。

それで諦めることが、実力相応である。

「それでも諦めたくありません……!何か手はないのでしょうか……?」

という諦めの悪い人がいるが、私はそういう矛盾した発想が大好きだ。

諦めたくないのなら、自分の実力不足分野は依怙贔屓してくれる他人に任せ、自分は楽勝できるところだけにすべてを絞るのだ。

独立する際に、頼れる親や親戚にお金を借りることがあるが、これは依怙贔屓である(推奨すべき正しさだとは言わないが)。

独立する際に、頼れる人に代わりに営業をしてもらったり、見込み客を紹介してもらうというのは、立派な依怙贔屓である。

Give and Giveがお互いの敬意と依怙贔屓で成り立つように持ち込むのだ。

極めて矛盾しているが、独立に際して一番効果があるのは、自分の出せる価値にシンパシーを得てくれる「人脈持ち」である。

率直に申し上げると、営業代行やウェブマーケティングがカスに思えるほど、依怙贔屓は強力なのである。

実力が丸々発揮できるからだ。

もちろん、発揮する実力という原資がないなら、これは不可能なのだが。

ただし実力発揮も抜け道があり、自分と似たタイプの成功者の真似をして、自分が勝ちやすいビジネス分野の取引事例と比較しつつ、「他力ベース」で独自の市場を攻めて行けばいい。

勝ちやすさを優先し、他人のチカラを借りる(TTP=徹底的にパクる)ことで、思いを実力に乗せていくのだ。

独立した人の特権として、完全に自由に価値を作ってしまえばいいのである。

「自分が提供する価値や価値観に、具体的な仕組みと値段を付け、手を挙げて買ってもらう」だけで事足りる。

現時点で「作りかけ段階」「アイディアだけ段階」であっても、その場で「それいくら?欲しい!」と買ってもらえることなど多々ある。

 

私はサラリーマン時代、ノルマを課せられる営業職は全く経験していない。

そのかわり、ゼロからのプロダクト構築と、見込み客(金融機関)へのパイプライン構築から、商談・契約・納品・リピート…という「ゼロイチ営業」の流れを経験している。

金融機関向けに投資案件のデューデリジェンス(価値評価)レポートを作り、統計学的な要素から財務モデリングの要素まで、すべてひっくるめて先行研究を調べ、協力先の助言を経てローンチした。

結果として当時の勤め先を救ったが、完璧主義に陥らず、矛盾や非常識に屈さなかったことで、難局を切り抜けたと言っていい。

 

現実解。

「お客様の成功だけを考えろ」とよく言われるが、

独立して営業が苦手な場合は「お客様の成功」が設定されていない場合ばかりである。

その場合「既存の企業でいいよ」と反論に遭って終わる。

独立したらノルマなどないのだから、「お客様の成功」だけを考え、

自分が楽勝できる地の利を非常識から用意し、

矛盾した状況を作って楽勝すればいい。

営業に見えない営業でコンスタントに「欲しい!」と言われたり、

「ぜひあなたを紹介したい!」と的確に言ってもらったり、

サラリーマンのノルマの倍や10倍が集まったりするのは、

ちゃんと実力が発揮されているからであり、確実に起こせる。

まだ起きていないなら、知識不足や微調整不足を疑い、探索していけばいい。

まずは完璧主義を捨て、素直に実力を発揮しよう。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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