サラリーマン経験は、独立する上で必要か不要か。

daily11 スモール分析。

「独立する上で、サラリーマン経験は必要でしょうか、サラリーマン経験は不要で脇目もふらずに独立を目指すほうがいいのでしょうか。」

 

これは、創業社長の実態を見ても、常に賛否が分かれる問いだ。

独立など考えてもいなかった人が、ふとしたきっかけで起業して、大企業に成長することもある。

最初から起業するつもりだった人が、脇目もふらずに突き進んで、大企業に成長することもある。

どちらもテクノロジーからスポーツチームを抱えるまでの規模だが、根本からスタート地点が異なっている。

 

ということは、厳格に「こうあるべし」を決めつけることができないのが実情だ。

ひとつの考え方として、サラリーマンのメリットを言うと、

「大規模な事業に当事者として関われる」という事実が挙げられる。

独立して数千億円や兆円単位の年売上高まで成長するには、時流や依怙贔屓が大事である。

となると「しまった!これは小粒になってしまいそうだ!」と思う場合、

自分の性格を考慮して、独立する前に規模感の大きい組織やビジネスやポジションに関わっておくとよい。

もちろん規模感の大きい組織にいたからといって、「小粒になりません!」という保証などないし、

規模感の大きさを肌で感じる規模の権限が、20〜30代の若手で与えられる保証などゼロだ。

それでも「規模の大きい組織」がどんなルールや仕組みで動いているかを肌で知っておくのは、基礎力として有益である。

会計監査を受ける組織の帳簿の付け方や、営業のお作法、外注するときのお作法、決裁と稟議の回し方、予実管理など、サラリーマンをやっていれば当たり前のことだが、

何も知らずに独立してしまい、人生において全く学ぶ機会がなく、お作法知らずで嫌われてしまうケースがある。

これは笑い事ではない。

綺麗事を抜きにすると、そのような人は実は経営者にかなりいる。

知っている人からしたら当たり前のことでも、40代を超えても組織の仕組みを知らず、全く売れずに弱者まっしぐら……という人は、実は少なくないのである。

せっかく良い理念やアイディアがあっても、アイディアを形にする屋台骨が揺らいでしまうのは、もったいない。

 

現実解。

とても逆説的だが、独立するに際し、独立するという外面そのものが重要なのではない。

楽勝できる土俵で確実に楽勝し、継続的に成長していく中身が重要なのである。

ピカピカの内容で、起業コンテストで評価されても、VCやエンジェル投資家に評価されても、

それはサラリーマンの人事評価という常識的な仕組みと大して変わらないし、そのまま継続的に売上が立って利益が出るわけではない。

むしろみんな後退りしてしまう場所や、一見古臭い物事にこそ、間隙を突いて楽勝するチャンスがある。

サラリーマンとして自由に動けているものの、ラストピースとなる完全な自由は独立で果たせるとか、

10年に満たないサラリーマン時代に突出して実力がつきすぎ、嫉妬されたゆえに独立したとか、

常識を知りながらも、非常識で非連続な流れにこそ、継続的な成長がやってくる。

 

追記。

きょうび、いちどサラリーマン経験をしておくほうが、現場を知ることができるのもまた事実だ。

SNSという広報でピカピカになろうとする上っ面だけの人は数多くいるが、

泥臭い現場を知ることで新たな仕組みを作れる人は、逆説的だがそう多くない。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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