リモートワークについて騒がれることは多いが、既にもう決着がついている。
決着とは、単に業界や企業の仕組みや理念に基づく好き嫌いで、リモートワークの「やる・やらない」を決めているだけでしかない。
製薬やヘルスケア業界や通信大手は「やる」側であり、IT大手は「やらない」側というだけである。
もちろん、さすがに製造や工事や交通の現場や店舗スタッフは物理的に厳しいが、
オフィスワークの企業の場合「できる・できない」という能力の話ではなく、
マネジメントの仕組みとして「やる・やらない」を好き嫌いで決めているだけに過ぎない。
最大手通信企業は、そのインフラの活用という意味から20年以上前からリモートを実施しており、かつて転勤や単身赴任で消耗した経営層が一気にフルリモートに挑戦するスタンスを取った。
要はリモートが好きなのだ。
また、既に10年ほど前から外資の製薬会社やヘルスケア企業では、福利厚生の一環としてリモートワークが当たり前に可能であった。
これも福利厚生の観点からリモートが好きなのだ。
そしてここ5年の間、日系最大手の製薬会社のうち数社と関わったが、当たり前のようにリモートを行っていた。
以下は単に「好き」という話題を超えたエピソードだ。
うち1社は、新型コロナウイルスの挙動がわからなかった2020年2〜3月、
初動対応として「製薬会社でクラスターが生じるのは絶対避ける!」という声を上げ、フルリモートに一気に変えた。
私は当時その企業で、全世界を巻き込む超大規模プロジェクトの全体統括を担っていたが、
フルリモートのせいで問題ややりづらさが生じたということは、全くなかったと記憶している。
わざわざ「記憶している」と書いたのは、大規模プロジェクトゆえ本音を完全に把握しようがない事実があるためだが、
全体統括のために各チームの会議にオンラインで同席して話を聞くことをしており、
その際に進捗と品質に影響が出た記録は特になかったということである。
リモートが「嫌い」なだけの人たちのポジショントークは、通用しなかったのである。
全ては、ToDoを切って進捗を把握し、いかにやるか(やらないか)というだけの話に過ぎない。
サラリーマンの仕事は、全てこの繰り返しである
独立していても、社長でも、同じことではあるが。
それだけでは済まない物事は、好き嫌いや相性で決めるしかない、極めて人間的な判断と決断である。
人間的な本音で、「やる・やらない」を決めているだけであり、それは業界や会社に応じた好き嫌いなのだ。
現実解。
リモートの話題には「不易流行」という言葉を当てはめることが相応しい。
やれ大手企業がフルリモートを廃止した(部門により月1出社または週1出社)ことや、
やれアメリカの最大手IT企業群がリモート自体を否定するというのは、
目先の生産性ではなく、それが嫌いというメッセージを発信しているだけである。
リモートがいいというなら、リモートが好きな企業と関われば良いだけである。
仕事の本質を見れば、価値を作ってToDoを切っていく以外に何もなく、手段でしかないリモートや対面の価値とは別だと覚えておこう。
追記。
もちろん、好き嫌いで動けるように、実力をつけることをお忘れなく。
ボックスコックスネット、遠藤武。