値引きは、負のスパイラルの入り口である。
「値引きしてくれ」も「値引きに応じます」も、
本気ではない、ただの馴れ合いだ。
現実解。
値引きから始まる話は、
文字通りお互いに不用意な結果しか生まない。
まずはこのスパイラルから抜け出す必要がある。
スパイラルから抜け出さないということは、
双方ともに、程度の低い不安から始まり、
不安に終わる馴れ合いで固まり続けているのである。
調達先に「もっと安くしろ」と口走る人は、
自分の価値が低いという事実を一切無視して、
自分の人生を常に値引きしているのである。
取引先から「もっと安くしろ」と言われて応じる人は、
「もっと安くしろ」と言い出す人の値引き人生に、
しぶしぶ応じて馴れ合っているだけである。
馴れ合いから共倒れしたいのか、
孤独に充実して成長していきたいのか、
これは選択の問題である。
他方、値引きそのものについても話そう。
今だから正直に告白してしまおう。
私はというと、製造業で調達を担っていたとき、
さんざん取引先に値引きを依頼していた。
これは何故かと言うと、取り扱う部材について、
「この2つの取引先に出しても、ぶっちゃけ差は値段しかないよね」
という、大企業の本音丸出しだったということである。
表面上の言葉や態度はさておき、
構造上は、完全に見下している関係だったと、
からくりを断言してしまって構わない。
「うちはこの地域だから、値引きされやすい」
よく聞く言葉だが、これは正しくは、
「うちは取引先のレベルがそうとう低い」
「うちは替えが効く程度のものしか提供していない」
と言い換えることが、事実から言えば正しいのである。
平生から私が唱えていることでもあるが、
替えが効かない付加価値を軸に、明確に訴求していれば、
少なくとも値引きに逃げることは絶対にありえない。
値引きしてくる相手は即断ればいいだけであり、
値引きしそうな人は前もって足切りしておくだけだ。
そもそも下請け体質では、商談しても楽しくないし、
前向きな成長の観点から、再考して腹決めする必要がある。
このように、事実と向き合わない態度や、
しぶしぶ応じてばかりで何となく生きる態度が、
本気で生きるプロの態度だと言えるだろうか。
プロだと言うのなら、そしてビジョンがあるのなら、
「関わるべきでない人から堂々と嫌われる」ことが大事だ。
ほんの少しの勇気が、桁違いの成長のきっかけをもたらすんだよね。
boxcox.net、遠藤武。