「景気が良いから」「不景気だから」という、
簡単な理由付けに逃げるのはもったいない。
景気はあくまで「どう動くか」を逆算する指標だ。
現実解。
何が本質なのか、
まず自分の頭で考え、
その上で動くことが全てということ。
リサーチアナリスト時代の話を出そう。
リーマンショック直後、
私が務めていた企業は、
業績があっという間に悪化した。
既存の契約が切られたためだ。
同じくリーマンショック直後、
金融機関は投資案件について、
第三者による合理性のある価値評価が、
必須条件として求められるようになった。
要はリーマンショック以降、
「何が本当なのか」
がわからなくなったのである。
統計モデルと財務モデルを軸に、
数字と洞察から助言が出来る立場として、
1案件に金融機関が10社近く関与する投資案件について、
アドバイザリーサービスが一気に成り立った。
このサービスは、
10年以上経った今でも、
継続的に成長している。
「景気が悪化したときは逆張りでチャンスを見い出せ」と、
安直なメッセージを出したいのではない。
「何が本当なのか」
という問いについて、
皆が感情的になって慌てふためく中、
カッカせずに自分の頭と知識と行動で、
危機を払いのけることが一番大事なのである。
あの時、私はプロとして、
数理統計学の論文と専門書を読みふけった。
また、関係する業界のプロから一次情報を聞き受けた。
その上で競合他社を含めた市場に挑戦したところ、
「本当のことを少しでも確実に映し出す情報が知りたい」
という隠れていた本音が発露し、
結果として所属していた企業を救い、
かつ10年以上続くビジネスを創ったのである。
(自分のサイトをboxcox.netという名前に決めたのは、
このとき活用したbox-cox変換という統計手法が由来の1つだ。)
「景気がいい」「不景気だ」
これは断片的には事実であっても、
100%の真実として君臨することはない。
あくまで、関係者が群れをなして堂々巡りしているだけであり、
関係者でない人は、ニュースで繰り返し言われていることに流されているだけである。
当時、日本経済新聞や時事通信や業界紙からインタビューを受け、
金融機関や市場関係者とも話すことが仕事であった。
これはシンプルに言えば、
「市場とは、特定の舞台にいる人の大声大会」
「市場とは、小さいコップの中の嵐」
でしかなかったのが事実だと、
改めて声を大にして言いたい。
舞台を変えれば、根本的に役者もストーリーも異なり、
変えた先には100%の悲劇など存在しなかったのである。
景気動向は、単なる基準でしかない。
景気に左右されて終わる企業はそれまでだ。
景気に左右されずに動きたいのなら、
断片的な事実は断片的な事実として素直に認めつつも、
「成長できる要素を創るための、マイナスというチャンスをもらった」
くらいに考えると丁度いい。
何でも景気のせいにしてしまうのは、
「原因を他人に求めてしまう人の性」だ。
人のせいにせず自分でチャンスを取りに行き、
マイナスの中から凡事徹底していくと、
「一見マイナスに見えて、実はプラス」
という事実が、目の前に広がるんだよね。
boxcox.net、遠藤武。