キャッシュ・フローとMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を合わせて捉える。

データ分析ここだけ話。

キャッシュ・フロー(CF、お金の流れ)という言葉が浸透して久しいが、

その考え方までは、あまり浸透していないと見受けられる。

また、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)という経営理念が重要と言われる割には、

それが具体的にどのように関わるかも曖昧である。

以下に、CFとMVVの関わりについて、大枠をまとめてしまおう。

 

まずキャッシュ・フロー(CF)には、「営業CF」「投資CF」「財務CF」がある。

営業CFとは、本業による現金の動きであり、大枠としてマーケティング(価格,原価,粗利,品質,研究開発など)とマネジメント(組織,営業,人件費,経費など)。事業継続のための運転資本(売掛金,棚卸資産,買掛金。広義では流動資産と流動負債)について、必要な資金量を日数で測る必要がある。

投資CFとは、事業を拡大するために投じる現金の動きであり、設備投資(機械設備や車両など)や金融商品投資(投資有価証券や貸付など)の要素がある。例えば放漫経営にならないようにするためには、投資計画と投資から得られるリターンについて、妥当性を測りモニタリングする必要がある。

財務CFとは、株式発行や社債発行や借入金による現金の動きである。営業と投資を行う上で、いくら資金調達が必要か・返済する計画か・実際に返済したか…という一連の動きが表示される。資本金がなければ営業も投資もできないゆえに、営業CFと投資CFの源泉である。かつ資金繰りの観点では調整弁でもある。財務モデリングには色々な流派があるが、短期借入金(ないし有利子負債)や現金の項目で貸借一致のための調整を入れるのは、そのためである。

 

またMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)という、経営理念の3要素がある。

M=Mission=ミッションは、経営者の一番の本音である。何を成し遂げたいかという夢や妄想や理想が軸となる。Missionは成長に応じて当初から変わることもあり、またある程度事業が拡大すると根本から見直すこともあるため、CFには物理的にリンクしないことが多いと考えておこう。ロマンとソロバンの「ロマン」で全体を取り仕切る要素が色濃い。

V=Vision=ビジョンは、経営や事業が行き着く方向性の可視化である。Missionに比べると具体性が増し、例えば中期経営計画といった要素や、戦略といった実行を司る物事が当てはまる。PL・BS・CFの計画を作り込むことや、数字の背景にある要素を割り出すため、上記の営業CF・投資CF・財務CFに強く関わると考えておこう。

もう1つのV=Value=バリューは、経営や事業を進める上での価値・価値観を揃えることである。MissionとVisionに比べると更に具体性が増し、例えば商品・サービスの価値から、人材採用や人事評価といった組織の価値観まで、大事にしている指針が当てはまる。特に営業CFの要素(マーケティングとマネジメント)に強く関わっており、ほか投資CFの背景にあるビジネスモデルやポリシーから、財務CFを確保するための意思決定基準まで、各所に縦のつながりと横串が具体的に通ることになる。

CFとMVVがリンクしてくると、数字が単なる数字にとどまらず、また理念が単なる理念にとどまらず、どのような思惑や人があり、どんな価値を出しており、どのような価値観を大事にしているかがよく見えることになる。

 

現実解。

MVVのなかで、真っ先に作り込む必要があるのはValueなのだが、

これは欲しい状況を具体的に言語化することで、先行条件づけをしているからに他ならない。

MVVのValueは、ABA(応用行動分析)の先行条件や行動をカバーする手法だとピンときていれば、

格段に見通しが立てやすくなる組織に化ける。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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