AI活用は「使う人の現時点での知識とスキル」に依存して、質が上下する。

データ分析ここだけ話。

立場上「こういうAIの使い方・データ分析の方法は有効なんですかね?」と聞かれることがある。

ストレートに言ってしまうと、AIやデータ分析を実行する人の知識とスキルに応じ、品質も内容も大きく上下すると覚えておこう。

 

最近「AIに有価証券報告書を読み込ませて、事業内容や業績動向を理解して、投資に活かす」というカジュアルな取り組みをSNSで見かけた。

取り組みとしては面白いが、有価証券報告書の構造や、上場企業の事業構造を知っている人からすれば、大枠を読み込めば済むことであり、わざわざAIを使って要約するほどのことではない。

というのも、知識がある人からすれば、どこに事業内容が記載されていて、業績動向はどこを読めばいいかというのは、わかりきったことであるためだ。

初心者向けには悪くないかもしれないが、全体像を大掴みできない初心者状態で投資をするというのは、率直に申し上げて投資業者からすれば良いカモであり、搾取される側だ。

基礎知識をつけ、自分の本業と財務諸表とをリンクさせる方が、脱初心者という観点ではとても大事である。

データ分析もAIもITツールも「事業ドメイン(領域)」というものがあり、

まずは得意な領域で大活躍することが最優先だ。

得意分野ではないところで、カジュアルな思いつきで理路整然と間違えてしまうと、負けなくてもいい負け方をしてしまうため、注意しておこう。

 

現実解。

とはいえ、この切り口自体は面白い。

面白い物事を徹底して応援する側として、

ちょっとマニアックな知識やお困りごとから切り口を出しておこう。

財務モデリングを作るのは、実は結局面倒だ。

その観点からだと、

・モデリングや資料を作る際に手間を省くオペレーション効率化のAI活用
・特定の項目(減価償却費)だけを抽出するなどBIツール的なAI活用

がすんなりと思い浮かぶ。

有価証券報告書の受理件数は1万件ほどあり、

これらを業界や規模ごとに自動で分類して、

一瞬で資料が作成できるというのはメリットだ。

あるいは、この内容に関連し、

統計モデリングに必要なデータセットや、

ダミー変数のアイディア出しや候補探しとなる基礎データを割り出すといった、

オペレーションズ・リサーチ的な切り口も出せる。

兎にも角にも、知識からの逆算が必要なのだ。

 

追記。

既存の知識がある上で、どう仕組み化するかがカギなのだ。

得意な領域をAIが作ってくれるように動線を組むとか、

AIにオペレーションを任せるように動線を組むという、

「餅は餅屋」で動く方が、幸せになれる。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。

↑詳しい自己紹介は上記リンクを参照。

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