「ビジネスサイドに言われてやったことは、恣意的な数字作りばっかり…」
このようなチカラない声が、データサイエンティストを称するSNSアカウントから聞こえてくる。
これにははっきりとした原因があり、データ分析部門に権限が付与されず、組織運営上は蚊帳の外なのである。
ありがちな話だが、往々にして決定権が営業部門にあると、データ分析部門は企画や戦略に関われない「数式を使ったダッシュボード作成代行業」どまりなのである。
こうなってしまうと、データを通じて組織がどう動くかの意思決定に関われず、データ分析はとても味気ないものに落ちていく。
根本的な話をしよう。
FP&Aは、そもそもミニCFOとしてキャッシュフローを向上することが使命ゆえに、組織作りや予算策定や売上予測のための極めて強い権限が付与される。
現時点ではあまり多くはないが、データサイエンティストが行う統計モデリングを、FP&Aが主導で担うことなど多々ある(私も経験したが、特にアメリカ系の巨大化したスタートアップに多い)。
この事実を虚心坦懐に捉えると、日本の組織で営業部門に翻弄されてしまうデータサイエンティストは、営業補助どまりの立ち位置だ。
少なくとも「ビジネスサイドが…」という単語がついうっかり出てくる時点で、権限が付与されていないことになる(FP&Aはデータを用いてビジネスの大枠全てを統括するのと対照的だ)。
現実解。
あらゆる言い訳を飲み込んで、データサイエンティストをFP&Aと融合することが、解決策の軸である。
実際にどこまでやるかはその組織次第だが、大胆にそれくらい変えてしまうくらいでいい(とはいっても北米のスタートアップで巨大化した場合では当たり前だが)。
データを用いる部門で一番強い権限を発揮できるのはFP&Aであり、統計学とファイナンスを両取りするなら、そのように仕組みをセットするほうが自然ということだ。
追記。
もちろんだが、すぐにあらゆる組織が実現できる話ではない。
これを逆手に取ると、変化に乏しい組織を去り、変化しようとリスクを取る組織に移る人が勝つことになる。
boxcox.net、遠藤武。