コンサル会社の価値が、
ここ5年くらいで暴落した話をよく聞く。
そのぶんエッジの効いたブティック系の一部が抜きん出るという変化が起こっているのだが、
これはつまり「既存のコンサルは変化に追いつけなくなった」ことになる。
大手企業向け外資コンサルのケース。
特に収支モデル策定やデューデリジェンスを行う仕事がだいぶ減り、
戦略とは言いがたいIT向けの仕事が増えた。
更に言うと、データドリブン領域や、
DX領域については、
広範になりすぎた事業会社の一次情報が足りずに、
最初からそうとう苦戦することが多い。
かといってデータ分析や数理統計学に明るい人はほとんどいない。
キャリア上ほとんど求められないためだ。
事業会社(=コンサルではない会社)の仕事が高度化し、
かつFP&Aのようなデータドリブン化を見た立場からすると、
相対的にプレゼンスが暴落したことになる。
あるいはそもそもITコンサルという「下請け業」のケースもある。
「外資大手コンサルです!IT領域やってます!テクノロジー領域やってます!」
これらは正確にはコンサルではなく、
ITシステム導入代行部門である。
こちらは更に根深く、
出自は良く見えるにも関わらず、
客先から見た立場が弱い代行業のため、
権限や権威で仕事ができず舐められやすいのが実情だ。
強権が集中するFP&Aと真逆である。
(ITコンサルはFP&Aのツールの導入業者というのもまた事実だ)
更に言ってしまうと、
ようやく30代だか40代になって大手企業に営業を仕掛ける。
その割にプロダクト構築することはない。
私は20代半ば過ぎに数理統計モデリングを企画・開発・実装し、
その知見をアドバイザリーサービスとして大手企業向けに売り歩くという事業立ち上げ経験をしたが、
後になってコンサル会社ではそのような経験ができないどころか、
基礎科学としてのテクノロジーではなくITパッケージしか知らないと判り愕然とした記憶がある。
この逆で、DXや新規事業に強いコンサル会社は今も強い印象を受けるが、
これは事実に即して変化に対応できているということである。
中小企業向け日系コンサルのケース。
外資コンサルと比べると人材の質が最初から低い。
一般的な大手向け日系コンサル会社の場合は地方国立大学〜マーチ関関同立レベルという層が下限だが、
その下にある中小企業向け日系コンサルの場合はこのフィルタが消え、
日東駒専や参近甲龍レベルが思いっきり増える。
その理由は、中小企業向け案件を営業させるビジネスモデルどまりだからである。
大学受験で旧帝大や早慶を数学から逃げずに一般受験合格するという下限をクリアしていても、
このレベルの企業経験者で大学受験や数学を踏まえた能力を、
キャリア含めコンスタントに語るにはかなり無理がある。
というのも、これら中小企業コンサルの出自は営業会社でしかなく、
法人営業経験のある若手がすべてにおいて優先されるためだ。
要はJTC(=日系大手企業)の就職(=営業)経験者であればつとまってしまうのである。
中小企業コンサルにも、
JTCの就職者にも、
実態としてキャリアに数理統計学は一切いらない。
リベラルアーツに立脚した洞察も全くいらない。
むしろ邪魔になってしまうくらいである。
今だからこそ明かしてしまうと、
下限をクリアした立場かつ、新規立ち上げを経験した立場で、
気まぐれで大手と言われる「中小企業コンサル会社」の面接を実際に受けたが、
一次面接の担当者は多忙で顔色がとても悪く心配になるほどで、
二次面接の上席者はコートをクシャクシャに丸めていた小男だった。
とても頭脳プレイをするようには見えない顔の「いくら稼いでも毛並みの悪い昭和サラリーマン」である。
もともとお遊びで受けただけなのもあるが、
即日「申し訳ございません、これ以上の選考をお断りします」と入れたのは言うまでもない。
挙げ句の果て、こういう会社は、
創業者がスピリチュアル系やトンデモ系や、
モラルハザード系違法行為にシフトしてしまうまでがテンプレだ。
コンサルとしては最初から蚊帳の外にいるし、
そもそも事業立ち上げ経験で上書きできてしまう。
現実解。
コンサルの価値が暴落した現象は、
既存のビジネスが仇となって、
組織が急激な変化に追いつけなくなったということだ。
教養不足やリベラルアーツ不足だと言ってもいいかもしれない。
世の中にコンサル出身者が増えたのも大きい。
だからこそ、
「それITの下請け分野でしょ」
「それ法人営業やスピリチュアルでしょ」
という残念な分野だけの経験で、
なけなしのマウンティングを取る人が増えた。
組織が用意したテンプレを消化するだけなら知性はいらない。
本質的な頭脳プレーをするなら、
組織内での権限が具体的に強く、
かつ数字や数学を使う分野に行かなくちゃ。
仕事は知性と権限でするものなんだから。
追記。
一部の優秀なブティックファームは、
この弱点を逆手にとってしっかり成長しています。
ゲームチェンジとはこういうこと。
boxcox.net、遠藤武。