「テンプレートがない!」「事例が見つからない!」
アウトプットを伴う仕事をしていてそういう局面に出くわすこともあるだろう。
その際は、できるだけ近い事例に強引に当てはめて、下書きのまま粗々で進めてしまえばいい。
そもそも知的生産において、構造が見えづらくなる原因は、100%コミュニケーション不足である。
自分と他人のコミュニケーションもあれば、自分との対話というコミュニケーションもある。
それどころか、いま目の前にいない他人同士のコミュニケーションが不足していたがゆえに、
仕事を依頼された自分のアウトプットが割を食うという理不尽なケースも多々ある。
「サラリーマン組織では、こういう無駄なコミュニケーションロスばかりなのか…」と愚痴を言い出し、諦めることは簡単だ。
そうではなく、まずは完成度10%や30%の状態で一気に作り切ってしまい、それをきっかけにデータを取れば良いのである。
堂々と先陣を切ると、なんらかのフィードバックが得られる。
フィードバックがポジティブだろうとネガティブだろうと、客観的に見れば「データ」に過ぎない。
やいのやいの言われようと、愚直に動き出して、愚直にアップデートしていけば、それだけで事は進む。
「そんなことを言っても、ネガティブに言われるのは嫌だ…」とあなたは思うかもしれない。
ここでひとつ気づいておくべきことは、ネガティブにだけフィードバックしてしまう人は、仕事を依頼することの本質に全く気づいていない「使われるどまり」である。
他人に依頼するということは、データを他人に預けて返してもらうことであり、効率的にアウトプットされればそれで事足りる。
人を使う側とは、人を楽しく踊らせる側である。
実力不足が原因ではない場合、データが効率的に返ってくるように感情をプラスに焚きつけて盛り立てることがカギなのだ。
依頼先にネガティブにしか言えないというのは、そもそもが依頼元の実力不足と思っておき、データ愚直に拾い集めるのである。
また、もしあなたが実力不足だとしても、実力がないなりに完成度の低い状態から始め、その上でフィードバックを受けながら完成度を高めればよい。
学習とは、あちこちで転びながら学ぶことであり、失敗を繰り返して試行錯誤して勝ちパターンに行き着くのである。
とすると、今の実力とはさしたる問題ではなく、愚直に目先の取り組みについて、クオリティを上げていけば事足りるのである。
アウトプットがゼロではさすがに厳しいが、10〜30%の完成度であればスタート地点に立てるのは、完成度を粛々と高める種蒔きが済んでいるためだ。
現実解。
粗々の下書きでも、そのまま書き進めていけばクオリティは順次上げていける。
むしろ粗々の下書きすら書けずに一生を終える人が大多数なのだから、
どんな状況でも「スタート地点に立てている」ことは、それだけで強い。
追記。
それでも理不尽な思いを強いられるなら、粗々下書きからクオリティを上げた過程を、他の人や他の分野に向けて提供すると良い。
この営みは、シンプルな学習のプロセスであり、時と所と人が変われば、確実に評価してもらえる。
boxcox.net、遠藤武。