「付加価値を作れ!」
そう繰り返しお題目のように言っている割に、
自分から付加価値をジャンク行きにしてしまう組織のケースは少なくない。
付加価値の本質は、気配りである。
売上や粗利や営業利益やキャッシュフローは重要だが、それは全て、関わる全員が動きやすくなるように気配りすることから来るのである。
マーケティングもマネジメントも、入り口はお客様や組織のメンバーへの、シンプルな気配りに行き着くと覚えておけばわかりやすい。
これと真逆の対応として、
無駄にコミュニケーションでへりくだったり、
変に忖度や上下関係が入ったりしてしまうと、
誰かに不自然を押し付けてしまうことになる。
これは気配りと真逆だ。
多様な発想をよしとする場で揉まれてきた優秀な層は、
さっさと見切りをつけて去ってしまう。
今まで見てきた、残念な組織の典型例。
「20代の優秀な若手が多く、30代がほぼゼロ、40代50代がたくさんの組織」
「幹部が客先に過度にへりくだる割に、部下はマイクロマネジメントしている」
仮に事業で売上と利益を出し、業界で目立っていたとしても、組織としてはヘナチョコな状態のままだ。
結果、組織に伸びしろがないと見切りをつけて、まず30代は去っていく。
20代も、実地経験を通じて実力をつけるために組織を使い倒し、さっさと去っていく。
このような組織は、気配りや多様性という発想がすっぽり抜けているゆえに、マイクロマネジメントに走る。
結果として、忖度に慣れきった補欠人材しか残らない。
忖度や内弁慶は、気配りと真逆であり、付加価値を減らす。
コミュニケーションロスとメンタルコストが、無駄に増えてしまうためだ。
柔軟性やストレートさが求められる知的創造や、グローバル対応は、忖度と真逆であるため、からきしであることが極めて多い。
他人事ではなく、この状況は、素直に自省ができず多様性のない組織で起こりうる。
このような状態は、根本から組織を変える過渡期であるか、組織を変えきれずに吸収合併されて消えてしまうかの、どちらかだ。
どちらにせよ、付加価値を自分から不足させる組織に、未来の価値は作れない。
現実解。
今いる組織に不満がある場合、まずは実力(=個人の付加価値)をつけ、自分の土俵を築くことに集中しよう。
その上で次を探ればよい。
気配りの言葉遣いや立ち居振る舞いから何から、そもそも付加価値を出せる人は、付加価値不足の組織と方向性が異なるので、当然の話だ。
付加価値が出せれば、そもそも別な場でやっていけるゆえに、気にする必要は全くない。
boxcox.net、遠藤武。