リサーチや分析は、大局観に直結してナンボ。

daily11 スモール分析。

「リサーチや分析を行う上で、最も気をつけることは何ですか?」

 

単なるリサーチや分析だけの代行業は避け、リサーチや分析が大局的に莫大な利益を生むように立て付けることが最も重要だ。

投資銀行に調査部門があり、メガバンクや総合商社がシンクタンクを持ち、

独立系リサーチ会社が成り立つのは、市場動向を的確に読み取ることが、莫大な利益を産むためだ。

要は、未来を先読みすれば、資本主義や技術動向で、投資対効果が明確に得られるのである。

 

私は大学在学中に、世界最大手ITリサーチファームのリサーチアナリストである師匠から教えを受けた。

大学の先輩でもある師匠は、国立の精神医療系研究機関で、

統計学を用いる臨床研究に携わったのち、リサーチファームに転じたという異色の経緯がある。

晴れて私もリサーチアナリストのポジションを得たと決まった際、

師匠は「大局観を持とう」とシンプルな言葉を贈ってくれた。

その心は、大局観が的確に読み取れていれば、予測が外れることはないという。

結果論にすぎないが、不思議なほど当たるというのだ。

反対に目先のことばかりに囚われると、方向性を見失って外れてしまうとも教えてくれた。

実際に言葉と洞察を噛み締め、市場の分析に始まり、さまざまな物事を見て決断して来たが、

確かに大枠で外れたことはほとんど無かったと思う。

これは現在の本業である執筆や経営者へのアドバイスでも同じことが言える。

 

そもそも、大局観とは物事のピュアな本質だ。

大局観にとって、本質を崩すような組織の論理や忖度など、いっさい通用しない。

市場のトレンドが一夜にして変わり、前提条件を全部入れ替えて分析やモデリングし直すことなどザラだ。

つまり事実と大局観の2つ以外は、すべて蛇足なのである。

蛇足を切り捨て、シンプルで本質的な見解を独自に打ち出すことが本質であり、

数字や言語やニュース記事にある事実を用いてロジックに起こしたものが、

結果的に大局観を炙り出すリサーチや分析の形をしているに過ぎない。

 

この逆のケースとして、

SIerやITコンサルが、リサーチや分析のパワーポイント資料を作っている例を挙げられる。

ありがちなのは、そもそも「調べて終わり」とか、大局観のいらない断片の可視化にとどまるとか、

組織の都合が優先されて腹の探り合いに加担するような、下請け制作代行業者による代筆になりがちだと言ってよい。

リサーチアナリストや、戦略コンサルの経験があれば、このような立ち居振る舞いは価値を作らないため、そもそも絶対にありえない。

制作代行のSIerやITコンサルは、得てしてリサーチを自前で出来ず下請けに出しており、

その下請け業者は大局観と無縁の知識不足・経験不足というまでが実情である。

統計モデリングや財務モデリングで、数百億円や数千億円や、それ以上の規模の物事が関わる分析の経験もない。

ということは、サラリーマンどうしで組織の論理に振り回されるまでがオチである。

誤解なきように言っておくが、組織の論理に振り回されずに大局観を出してよいケースもあるし、

客先の本音が大局観でリードしてほしいというケースも多々あるし、モデリングが求められる分野も数多い。

にも関わらず、下請けマインドが優先され、やたらとへりくだってしまう業者がいるのは、

デジタル領域やDXの盛り上がりで、本来は下請け人材だらけのSIerやITコンサルがリサーチを始めたという実情がある。

要はハードルが下がったため、有象無象が入り込んでいるのだ。

グレーゾーンを突いたということであり、ビジネス的にはこれは明らかに正しい。

ただし、雨後の筍のごときイマイチな有象無象は、実力がないゆえに淘汰されるか、

既存の組織に向けたプロジェクト型人材派遣業に収まるまでが、身の丈にあったシナリオだ。

捉え直すと、個人の実力はさておき、組織の身の丈に見合った動き方は、大局的なビジネスのあり方だと言える。

 

現実解。

リサーチや分析は、群れた多数決とは相容れない競技種目だ。

淡々と本質を孤独に抉り出し、大局観を照らせば、自ずと勝てるからこそ、

リサーチや分析に価値があると覚えておこう。

boxcox.net、遠藤武。

 

 

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。

↑詳しい自己紹介は上記リンクを参照。

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