「営業がどうもうまくいかず売れないのですが……」
そのように相談されたら、
「理屈ではなく、市場の本音のお悩みを攻めろ」と答えるようにしている。
商品が売れる状況(あるいは売れる商品)というのは、
ロマン×そろばん=「欲しい!」
というくらいまでシンプルに表せる。
ロマンには、本音やお悩みや喜怒哀楽といった感情が材料に含まれる。
そろばんには、論理や事実や投資対効果といった勘定が材料に含まれる。
うまくいかないケースの対策。
営業がうまくいかないとか、商品が売れない場合、多くはロマンの中身が足りないか作り込みが甘く、お客様の本音に寄り添っていないことが原因である。
あるいはやたら理屈っぽく、せっかくのロマンが消え失せていたりすることもある。
この場合はそもそも実力があるケースが多く、ロマンの持ち方ひとつで化けることが多い。
ロジックは大事だが、ロジカルシンキングや正論は、あくまで道具だと考え方を変えよう。
ロジックやそろばんがある上で、ロマンや本音に寄り添うようにすると、他の人からの評価が一変する。
人はギャップに惹かれる。
単価が安く下請けや代行で苦しんでいる場合、ロマンもそろばんも甘く、「欲しい!」と言われたことがなく、根本的に実力も実績も乏しいままビビっていることが原因である。
この場合は最も根深く、根本的に苦手をできるだけ遠ざけ、とにかく楽勝ができるように徹することが基本だ。
「そうは言っても、お金が厳しく、ずっと売れずに勝てないままです……」
ついそう言い出す人は、今までやっていたことが根本的に間違っていると素直に認めることが先決だ。
ストレートに言うと、その他大勢の側として不利に追い込まれるゆえに、勝てないのである。
「独立すると、年収が2倍や10倍やそれ以上になるか、限りなくゼロに近くなるかの2択である」という肌感覚を持ち合わせる人は少なくないが、これは突出するかその他大勢かの2択ということだ。
ロマンもそろばんもある流れに、大急ぎで方向転換することが先決である。
とはいえこの場合、すべてが悪ということではなく、1つ良いポイントがある。
ずっと続けてきたからこそ、人間関係や観察眼は残るという事実である。
お互いの経営資源をお金を介さず交換したりと、人と人とを繋げる形のビジネスを作ってしまうことも、方向転換の考え方のカギになる。
なんでもかんでも自分でやるという発想から離れて、他力を活用しあい、自分を含めて目の前の人の本音を叶えることも、ロマンとそろばんのあり方だ。
現実解。
ロマンとそろばんにピン!と来て、成長したもの勝ち。
ロマンとそろばんに色々な人が集まれば、そこに市場ができるので、おのずと営業が楽になる。
結果として広い意味でのマーケティングだと言ってよい。
boxcox.net、遠藤武。