データ分析や、データ分析の発想を活用しやすい物事は数多い。
ビジネス全般(ファイナンス、マーケティング、SCM、新規事業、経営企画、複式簿記、デジタル・IT、人事・総務、研究開発、品質保証)然り、
ビジネスに関わる各分野(製造、医療・製薬・ヘルスケア、資源・エネルギー、物流、通信、金融・コンサル、デザイン、メディア、教育、資格職・専門職)然り、
データが取れるもの・データが取りづらいものなど様々あるが、これらは何らかの形でデータ分析を仮定できる。
キャッシュフローモデリング、売上予測・需要予測、価格推計、投資価値評価、品質管理など、どれを取ってもよいが、実のところ共通した要素は少なくない。
分析に必要なデータや要素の大枠となる「良し悪し」の価値判断基準が、似通ってくるためだ。
定量的な分析を用いるというケースは、想像に難くないはずだ。
では、データ分析を活用しづらい物事はなんだろうか。
この難問についてシンプルに言い切るなら、「人間の本音が関わる物事」だと答えよう。
そもそも本音ゆえに、データが取りづらい。言っていることと思っていることに差異が出ることなど、よくある(民法の心裡留保という考え方が当てはまる)。
このような本音は、分析できないまま壁に遮られて終わるのだろうか。
答えはNoだ。
ちゃんと分析できるはずだ。
本音について、素直にストレートに炙り出し、相手と親密になるとか、新商品を成功させるとか、一定のゴールを定めていけば、データ分析と同等の洞察が可能になる。
このとき重要なのは、定性的(=基準のある数値だけでは表せない)な要素を、分類して数値のように仮置きすることである。
コツは、完全なデータにならずとも、ハードルを下げることをゴールにすることにある。
データ分析はあくまで手段に過ぎない。
本音を炙り出すに際し、自分や他人について、社会的な属性はどのような立場か、年収や学歴や専門分野は何か、出身地はどこか、好きなもの・嫌いなものは何か、どんな不満や悩みがあるか……といったいろいろな要素を含む価値観を分類する。
これらについて観察し、価値観の要素の有無を0か1の属性データ(ダミー変数)のように捉えていくと、その相手を多変量解析のように分析することができる。
これはちょうど、不動産や自動車の価値を鑑定するのと同様の視点であり、また心理統計学の手法にも似通ってくることになる。
現実解。
データが取れないとき、あるいはデータ分析に持ち込むことが難しいとき、
「なし」「ある」の属性について、0と1を置いて、分類することから始めてみよう。
十分なほど洞察が可能になる。
追記。
本音を導き出し、丸裸にできてしまうので、乱用や分析しすぎに要注意。
boxcox.net、遠藤武。