コンプライアンス(法令・社会規範の遵守)が徹底される世の中になった。
ただし法律や契約や、あるいはテクノロジーは、逆算してグレーゾーンを誘導することにも用いられる。
思いのほか、誰も疑いを持たないためだ。
グレーゾーンとは、「なんとなく」で煙にまく発想である。
保険の契約書がやたら細かく分厚いのは、
もともとグレーゾーンであるものを、意図的な取り決めで包み込んでいるだけだ。
保険に限らず、やたら細かい取り決めや、やたら複雑で読む気が失せる契約書や規則は、
機能や明確な理屈はさておき、逆説的にグレーゾーンへの集団的囲い込みだ。
だからこそ契約書や法律(特に民法や税法)に通じておくことが重要なのだが、
それは単なる基礎知識やリテラシーという模範解答の話である。
根本的な話をすると、
「グレーゾーンを目利きができるリテラシーがある」
「グレーゾーンに群れさせられ始めたら、即答で断ってしまう」
「グレーゾーンがあっても、理屈抜きに関わりたいと思える相手と関わる」
という実力のほうが、有益ということである。
実力は、学歴や職歴という常識的な序列も関わるが、
それらを得ても、入り口にしか立っていない。
その先で「実はこうでした」を明らかにしていくという、
グレーゾーンからの価値創りが必須だからだ。
水平思考やセレンディピティは、
どれもグレーゾーンにとどまっている物事を、
「あるある!」「これだ!」
とピン!と来ることだ。
自分だけの価値を世の中に広めるには、
グレーゾーンと向き合うことが必須である。
湯船に浸かった際にお湯が溢れ出る現象から、
純金(のはず)の王冠に混ぜ物があることを見ぬいたアルキメデスも、
才能や天才や教育よりも、競合のゴミ箱から知りたい情報を見抜いた上で、
継続することを何より大切にしたレイ・クロックも、
世の中がなんとなく動いているグレーゾーンについて、
光の当て方を変えることで、価値を創ったのである。
現実解。
グレーゾーンは、立派な分析対象だと言っていい。
データがあってもなくても、「おかしいな?」と思ったら、分析してしまうのだ。
まずは超アナログにざっくり切り分けたり、共通点を探すだけでいい。
2値に分類したり、異なる2つの共通点を見いだせば、
グレーゾーンから価値を呼び出せる。
これは過去から現在まで数限りなくなされてきている。
boxcox.net、遠藤武。