いくら実力があって抜きん出たとしても、
最終的にどこかで群れてしまうと、
アイデンティティがインフレを起こし、
一気に尻すぼみになることがある。
20代中盤くらいで頭角を表した人で、
30代になって失言や知識不足が露呈し、
それ以降は全くふるわないどころか、
過去の遺産にしがみつくしかなくなるケースは多々ある。
この原因はおおよそ相場が決まっていて、
群れてしまったがために、突出しなくなったのである。
前倒しで頭角を表すことは基本中の基本であり、
おおよそ一定レベル以上の人であれば、
20代で何らかの片鱗や実績を見せており、
30代で更に成長し続けていく。
ここに異論の余地はない。
途中でやらかしたり、
中途半端になってしまうのは、
変に周りに忖度する必要があったり、
変に周りから忖度されてしまうことで、
同調圧力と実力を混同して、
アイデンティティがインフレを起こし、
素直に学べなくなってしまうのである。
「若気の至り」「若書き」と言ってしまえばそれまでだが、
成長が止まってやらかしてしまうメカニズムがこれだ。
サラリーマンの場合も、経営者や作家の場合も、
それこそ年齢が20代や30代よりはるかに上でも同じことだ。
継続的な成長とは、実績の山を多数築いていき、その山々を越えていく旅路だ。
そもそもこれは淡々と進む孤独な人向けの競技であり、
文字通り没頭して山ほど試行錯誤することになる。
ついうっかり、結果として山ほどネタが仕込まれるので、
誰かとダラダラ群れてしまう暇などいっさいない。
群れることが目的になってしまうということは、
山ほどネタを仕込むチャンスを捨ててしまうことであり、
手近な話題や手近なメンバーで固定してしまう。
また、いちいち群れないと何もできないビジネスモデルのため、
だんだんと話がワンパターンになったり、
薄っぺらい極論に逃げたりと、
老害化していくまでがテンプレだ。
現実解。
どのような業界や分野でも、孤独を忘れると、このような現象が起こる。
アイデンティティとは本来孤独に淡々と持つ絶対的なものである。
他人と比較して相対的に作ったり、演出ばかりにとらわれると、本音ではないものが混ざり、
無理のある努力の要素が出て来てしまう。
大なり小なり、確実に勝てることだけに絞ったほうが、
実は規模を狙うにしても有利だと覚えておこう。
追記。
逆に言うと、アイデンティティにインフレを起こしている分野や人の場合、こちらの長所がマッチすればあっさり勝ちにいける。
boxcox.net、遠藤武。