カスタマーサクセスと価格差。

daily11 スモール分析。データ分析ここだけ話。

価格と品質を統計モデリングで分析し、

その上でBtoBもBtoCも問わず複数の業界で値付けと品質の実態を知ったが、

価格の裏側には、果てしない実力差がある。

 

シンプルに言い切ろう。

「物量が多い場合」または「価格が高い場合」は、「カスタマーサクセスがある」という事実を挙げられる。

(詐欺・犯罪や、情報格差を乱用した煽りケースは、そもそもカスタマーサクセスを自壊させているため、ここには含まない。)

 

一杯のコーヒーを例に出そう。

コンビニのコーヒーは、製造や流通や販売について物量の多さをカバーできる高品質の仕組みがある。

そのため、価格が安いというカスタマーサクセスを出しても、薄利多売であっても、セット売りやついで買いがあり、さほど痛くもかゆくもない。

ハンドドリップのスペシャルティコーヒーは、物量は小さいものの、味やオーナーのポリシーで高品質なカスタマーサクセスを担保している。

そのため価格を高くしても、「欲しい!」と売れる。

 

ここから逆算すると、

「価格が安く、大量に流通するものは、物量確保のための高品質なSCMをカバーしている(値段が安いこともカスタマーサクセスである)」

「価格が高く、少量しか流通できないものは、価格が高くとも『欲しい!』と手が上がるカスタマーサクセスのある商品内容である」

と言い切れる。

 

ここから一番重要な洞察は、

価格を高くして粗利を増やしたい場合も、

価格を安くして薄利多売したい場合も、

商品のカスタマーサクセスが全てだという事実だ。

職人として「これは良いものだ」というだけではカスタマーサクセスにはつながらない。

お金をサイフから出す側が受け取る機能と情緒のメリットと、その流通ルートありきである。

また、そもそも値段が安く、売れてもナメられるという場合は、カスタマーサクセスがないと言っていい。

私が相談される内容として、粗利を良くするための価格改定やカスタマーサクセスの強化があるが、

現時点である程度の品質やカスタマーサクセスがあり、具体的に「欲しい!」となるお客様がついている場合、粗利強化はそれほど難しくない。

価格を上方向に改定すれば、お客様がそのままついてくるか、一部入れ替わるだけだ(飲食などBtoCのケースがわかりやすいだろう)。

逆に、値段が安く下請け状態が長年放置されていて、品質やカスタマーサクセスが明確になっていない場合、ゼロから学びなおす必要がある。

価格を上方向に改定し、その上で受注力をつけ、高額に見合ったカスタマーサクセスを徹底し、既存のお客様を事実上捨てる覚悟が必要となる(特に製造や制作を伴うBtoBのケースに多い)。

単なる資源価格上昇による「値上げ」は全く別として、価格の裏にはこのような仕組みがある。

業界に応じた粗利の確保も千差万別だが、価格差があっても、世の中に流通する以上はカスタマーサクセスありきなのである。

 

現実解。

安易な値下げがそもそもダメと言われ続けているけれど、

根本的に言えば「値下げカスタマーサクセス」が可能なケースは、規模の大きい強者の発想だ。

目の前で見るものが安値攻勢ばかりだと、ついうっかりそちらに引っ張られてしまう。

価格も品質も高いものに触れておくことは、個人でできるサクセスの高め方だと覚えておこう。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。

↑詳しい自己紹介は上記リンクを参照。

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