「実は『このお店大丈夫かな?』という気持ちで来ていたんですよ。」
常連のお客様からそう言われて、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしたというお店のエピソードを、複数件知っている。
直感的に言えば、とても恥ずかしいかもしれないが、
実のところ、お店が生き残っている以上、大成功のエピソードだ。
「恥ずかしい…」と言っておきながら、
実は自慢しているのではないかと思うくらいである。
ビジネスは、つくづく直感に反する。
理詰めで組み立てることは大事だが、お客様という人間を介する上では、絶対に「好き」という感情が先だ。
「このお店大丈夫かな?」と思われても、
「意外に美味しい!」と思ってもらったり、
「いやいや、意外どころじゃない!ただシンプルに美味しい!」と覚えてもらえれば、
固定費と生活費の分のキャッシュを得られることで、お店はそのまま継続する。
実は、このようなものすごく恥ずかしい思い出が、
そのまま勝ち筋に変わってしまうことなど多々ある。
「かわいげ」「憎めなさ」はエネルギー源なのだ。
起死回生のターンアラウンドも、独立してうまくいくことも、本質は同じだ。
それは、単に覚えてもらっているからだ。
たったそれだけの感情的な理由で、オセロゲームで駒を一気に裏返すかのように、
あっさり売れたり、あっさり生き残って成長してしまうことなど、
実は日常的であり、ちょっとしたことで起こるのである。
現実解。
生き残れる生命力は、財産である。
とんでもなく恥ずかしい経験だとしても、
そこに「かわいげ」「憎めなさ」があるなら、
それは立派なエネルギー源や運の良さだと覚えておこう。
boxcox.net、遠藤武。