外資IT企業が頑なにリモートワークを否定することで、むしろリモート推進は有利になる。

daily11 スモール分析。

外資IT企業大手が、頑なにリモートワークを忌避していると報じられて久しい。

他方、日本の通信系大手は、新型コロナ対策だけではない流れから、リモートワークを是としている。

いずれの企業にも関わり、内情を知る立場で率直に言うと、この現状はリモートを推し進める組織に有利である。

 

ストレートに言うと、外資IT企業がリモートワークを忌避するのは、

創業時ほどの実力があまりなくても動くようになった組織が、

お互いにビビりながら相互監視しているだけだ。

例えばGAFAと呼ばれる企業群は、

ベンチャーのまま相当に大きくなったゆえに、

寡占状態かつ独自性が強過ぎるがあまり、

組織の物事を客観的に見定める手立てがなくなった。

要は基準がないので、言ったもん勝ちなのだ。

だからこそ、立ち居振る舞いがおかしくなるのである。

そもそも、規模が大きすぎるがあまり、

パフォーマンスが低い(と組織がみなした)人をさっさと切る方が、

生産性を見定めるより手早いという実情もあると解釈できるが。

また、ある種のインフラ業や投資業に転換してしまっているがゆえに、

創業時のベンチャー精神が薄くなってもキャッシュが出るため、

上意下達のピラミッドの理屈で動いてしまうとも言える。

要は、ベンチャーであれば絶対に言わないやらないことをついついやっているのは、

群れないとビビってしまう人材を、体よく使い倒しているだけなのである。

加えて、階層化された組織の中間管理職や、その上司である幹部や経営者が、

「体よく組織を回さないと自分のクビが危うい」とビビって保身に走っているのだ。

 

最低でもゼロから2桁億円中盤くらいまで組織をスケールしたことがあったり、

一度でも、独自商品を「ぜひ欲しい!」と買ってもらったならわかると思うが、

実力と熱意があるというだけで、そのまま自由に成長してしまうのが、ビジネスだ。

そこに保身など一切いらないし、無駄な中間管理職や幹部など邪魔なだけだ。

腕利きのエンジェル投資家やVCであるなら、これはあっさり判断できる。

逆に言うと、既に大規模インフラ業や投資業として機能しているなら、

採用段階で実力と熱意の方向が「既存の機能の維持」に仕向けられてしまう。

そこで保身が生まれてしまい、無駄な会議や管理職や幹部で埋め尽くされる。

組織というのは、人が増えるほど統制が取りづらくなる。

ゆえに保身に走るなら、チャップリンの映画『モダン・タイムス』と同じで、疑いなく歯車に乗っかってくれたほうが便利ということになる。

いいか悪いかはさておき、インフラとしての機能が大規模かつ強固でキャッシュが回っているなら、チャップリンの昔からMVVすら邪魔なのだ。

 

現実解。

これをいい方向に捉えて、スキを突くには何をすればいいか。

多くの人の本音として、面倒ごとが少ないリモートワークで過ごしたいという意思は揺るがない。

ここを突いて、優秀な人を焚き付けるのだ。

実力がある人ほど、ほかに邪魔されることなく過ごせる環境があるだけで十分だ(その場合、あっさり独立して成功してしまうが)。

実のところ、日本の最大手通信企業のトップはこれに気づいているのだろう。

「出社は出張扱い」という強烈なコンセプトは、その表れだ。

 

追記。

リモートを否定する外資ITが出す「ホラーストーリー」もまた、よく練られていて興味深い。

「リモートなんてズルい!」という嫉妬をうまく混ぜ込み、同調圧力で組織を回しているのは、外資らしくない流れだが、見事に負の本音を捉えている。

 

追記の追記。

リモートの件に限らず、一方的で頑なな価値観には、何らかの見えない意図があると覚えておこう。

そのスキを突いて、他が出さない/出せない/出したがらない価値を出すと、楽しく楽勝する有利な土俵ができるから。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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