「『ファイティングポーズ』という言葉を遠藤さんは意図的によく使う印象がありますが、これは何のためですか?」
ファイティングポーズを取っていると、ついつい動いてしまうためだ。
ついつい動いていくために、ひとつひとつの行動に熱量を加えればいい。
前向きな言葉で自分に言い聞かせることも、「行けそう感」のある行動で自分から取ることも、
気分を上げながら効果を上げていくファイティングポーズである。
ファイティングポーズのコツは、「ハードルを下げていく」ことと、「自分と周りの気分を上げていくこと」の2つに絞れる。
そうすれば、自ずと行動しやすくなり、熱量が上がる。
例えば、ゼロから売上を立てるとき、既存の身近な人が喜んで「欲しい!」「集客に協力するよ!」とあっさり言ってくれうように、お店やサービスの中身を立てつけることがカギだ。
飲食店であれば、まず身近な人に「美味しい!お店の内装も素敵!しかもあなたの趣味と世界観が全開なんだね!笑」と身近な人にえこひいきしてもらえれば合格だ。
(しっかり粗利が取れて、清潔かつ安全で愛着が持てればそれでよく、お金をかけることに躍起になる必要はない。)
そこから自分とお客様の「好き」と「嫌い」で判断しながらブラッシュアップを繰り返し、「協力するよ!」を得てしまえば、熱量が伝わっていく。
これは飲食店のようなBtoCに限らず、BtoBでも同じだ。BtoBの場合「これだよ!この苦しみが解決されるからぜひ欲しい!」という、熱量が伝わりやすい流れを想定しておこう。
その上で、自分の本音ベースで「こうありたい!」という価値観と規模感から、その時に果たしたいことまでを、生々しくイメージしていくのだ。
そうやってファイティングポーズを作り込みながら、言行一致していくと、自分も周囲も行動が誘発できるのである。
この逆に、うまくいかない場合は、ファイティングポーズでボタンの掛け違えが起こっている。
ハードルが高いケースを考えよう。
飛び込み営業では、大体の場合ハードルが高すぎて疲弊してしまう上に、飛び込みで一方的に売り込まれた周囲の人は「あんた誰?」になってしまう。これはもったいない。
気分が下がるケースを考えよう。
ちょっとしたボキャブラリーで自分たちの実力を過小評価したり、理屈が優先して変に謙遜してしまうと、できるはずの物事もできなくなる。これももったいない。
根本的なことだが、自分たちが効果的に熱量高く突き動かしていくのだから、ハードルが高い状態は避けなければ意味がないし、気分が下がるケースも避けなければ意味がない。
ハードルと気分の悪化を避けることがなぜ重要なのかというと、それ自体が人を大事にすることだからである。
私は「中小企業」「零細企業」という言葉を意図的に極限まで避けているが、それは「中小企業や零細企業という言葉が出てきて、熱量高く盛り上がる人は誰もいない」と知っているためだ。
好き好んで熱量の低い状態に身を置く人も、中小零細に甘んじたい人も、一人もいない。
ここだけの話だが、額面通りの零細企業状態から抜け出せず消えていく人は、やたらと「自分は零細だから…」という過去の理屈ばかりを喋りたがり、舌先やアゴの筋肉だけ育って実力はからきし…である。
最も残念な零細社長の場合、せっかく助けてくれている実力者や成功者がいるのに「自分『たち』は零細だから…」と、ついうっかり主語を大きくしてしまい、自分のセルフイメージの低さを人に押し付けてしまう。
知らずに不興を買って「あの人とはもう関われないよね」という評価が本人のまったく預かり知らないところで下され、その零細社長から人が離れていくまでがテンプレだ。
ハードルが上がることや気分が下がることを、なんとしても避けるのは、人を大事にするための立ち居振る舞いであり、ゆえにファイティング「ポーズ」なのである。
現実解。
ハードルを下げていき、気分を上げていき、その上で事実を見据えて「いける!」と言うところから愚直に手をつけていけばいい。
たった1つでも、たった一歩でも半歩でも、それは行動なのだから、堂々と「動いた!」という事実を評価すればいい。
前向きに評価することで効果が上がるから、まずはハードルを下げればいい。
自分に「いいね!」ボタンを堂々と押すことが、ファイティングポーズの第一歩だと思っておけば、全て事足りる。
boxcox.net、遠藤武。