SaaS(Software as a Service; サービスとしてのソフトウェア)は、データドリブン分野の軸であるが、
既存の起業の事例だけを見て「このSaaSはいける!」とついつい判断してしまうと、コモディティ化して不利な戦いを強いられる。
というのも、そこに本音が全然ないためだ。
起業のために、既存の「データドリブンに置き換えて成長しそうな産業」を狙い、リサーチを仕掛ける例は多々ある。
はっきり言ってしまうと、これは極めて合理的な動き方だが、とても退屈で共感が得られない。
そもそも合理性を追求しすぎたあまり、自分にとって有利な土俵も本音のパッションも薄いことになる。
成長可能性抜きに、出資者は納得するかもしれないが。
実際に成長するケースというのは、明らかに弱点や勝ち筋・価値筋・ドメイン知識が、まるごと見えていて、そこに自分が本音のパッションを注ぎ込めるときである。
実のところ、既存の産業について、法規制や商習慣や市場構造の限界があり、外部からソフトウェアが喰らいつけないケースや、足を引っ張られて人どうしの邪魔が入るケースなど多々ある。
要は「論理的すぎて面白くない…」という、ありがちな情報システム会社やSIerのような結末に陥るのだ。
現実解。
スタート地点にその分野への本音とドメイン知識がなく、取引事例で成長可能性を探ったケースより、
本音丸出しで成長の道筋をこじつけや後付けしていくケースのほうが、成長のハードルが低い。
成長は、本音をぶつけあうという命のやりとりから来ると覚えておこう。
boxcox.net、遠藤武。