「大卒総合職は時代遅れ!」「これからは手に職を付けた人が強い!」という声がSNSから聞こえてくることが多いですが、「手に職」でお金を得ることは本当にそれだけなのですか?総合職という地の利を活かすことはできないのでしょうか。
確かにSNSで、やたらと勇ましく「手に職!」と言い出す人がいますが、これに不用意に乗せられるケースはよくあります。
プログラミングスクール、せどり、オンラインサロン…等に手を出そうとも、
実際には「手に職」という名の、使い走りばかりが量産されています。
そのような「手に職」は、サイドビジネスとしては良いと思いますが、メインにするには厳しいでしょう。
事実をありのまま述べると、「手に職」の内容には、
明らかなランクや序列が存在しているため、単に勇ましさだけではどうにもできません。
ランクに応じて何もかも変わっていくと覚えておきましょう。
ランクが高いものだけを挙げると、
「一定規模以上のクライアントや組織と関わる研究開発や企画」
が最上級の「手に職」です。
研究を伴う医師や、中央省庁に関わる専門家、弁護士や公認会計士のうち研究職領域の人は、この分野に含めてよいでしょう。
また、大企業の場合は大卒以上の総合職クラスの一部が研究職や企画職を成しており(または研究職だけ別枠もありうる)、総合職が知りうる知識はそうとう分厚いです。
そして、ビッグクライアントを網羅するコンサルティングファームやリサーチアナリストなどの専門職のうち、研究開発や企画が必要な立場もここに含まれます。いわゆる企画職に限らず、企業をタテヨコで一気に見ることができるポジションがこれです。
(成果物を提供するだけのコンサルは、研究開発や企画と伍するには厳しいため含めませんが、研究開発や企画の経験はコンサルに向けて転用は可能です)
大卒総合職がキャリア的に時代遅れというのは誤ってはいませんが、結局は総合職の上澄みに「手に職」がついているメリットは、あまり多く語られない事実です。
例えば、通信最大手や建築・土木などで一定以上の社歴の人には、
「我々が関わっている研究や技術開発事例が日本でも世界でも最先端なのだから、わざわざ大学や大学院にお客さんとして戻るのではなく、こちらから教えてやる立場で関われ」
というような素直な本音があり、これは社会が支える最上級の「手に職」であるゆえです。
最上級の「手に職」の本音が見えない段階で、例えば再受験だけだと、目に見えて来ない事実です。
当然ながら、いま何もないスッカラカンの場合なら再受験してもいいでしょうし、10年以上経ってどうしても心に引っかかる場合にゼロからやり直す意味で再受験してもいいでしょう。
この純粋な学びの意欲はとても大事です。だからこそ、素直に「実績が何もないところから後付けでやりなおした」という目線が成長に重要なのです。
そうではなく、素直さ不足と、変に目先の合格や学位だけで終わり、実績がないわりに偏屈で残念な人が生まれてしまいますから。
もちろん、単に総合職というだけでは主語が大きいゆえ恩恵を享受できませんが、
的を絞り、大手企業での研究開発や企画のポジションや、大手企業に信頼されて深く関わっている立場の場合、
いろいろな方に話を聞くと異口同音に「自分がやっていることが最先端である」と淡々と述べていた事実があります。
現に私もそのような状況にありましたし、ほか私が関わったさまざまな業界を見るに、あちこちで当てはまるところがあります。
あまり明かされはしませんが、一定規模以上では、そのような「手に職」が当たり前なのです。
お金が重要な場合、いったん研究や企画を軸とした得意技で下地を作り、
そこから副業含めてパッションがあって勝ちやすい土俵で勝ちにいくほうが有意義です。
総合職や専門家ではなく、何も有利なところがないなら仕方がありませんが、不用意に単にお金だけに絞ってしまうと、怪しい人たち取り囲まれてしまい、意味も楽しさも消え失せます。
そもそもですが、さっさと辞めて研究を軸とした得意技を研ぎ澄ます方向に進んでしまう人など、一定レベル以上の大学では当たり前のように昔から存在し続けています。
「好きなことをして生きていく」の最上位がこれであり、決してSNSで踊らされる側ではないのです。
この事実と向き合い、地の利を生かすことが大切なことなのです。
現実解。
みんなが独立や起業をしようとすると、どこかで市場がピンポイントに希薄化して、見落としが生じますから、その分スキをついて有利になる人が出てくると覚えておくとよいでしょう。
研究や企画や総合職という、自称の効かない一定規模以上の枠組みや内実がある場合、スキを突けるためとても有利なのです。
念のためですが、中身のない「自称〇〇」や、内実の薄い立場しか経験のないケースは、いくら動いても、あるいは独立しても、ちゃんとした出版社さんから一切相手にされないような不利があり、結局は内実が実力にも格式にも影響してくると覚えておくと腹落ちしやすいはずです。
人間は「考える葦」と言われますが、「考える葦」を徹底した人が強者総取りを果たす事実を意識しておくと、今いる立場から先に進めるありがたみに気づくことができるでしょう。
そうやって、愚直に素直に強みを生かすだけでいいのです。
boxcox.net、遠藤武。