スタートアップという、急成長を見せる起業があちこちで目立っている。
急成長を経験した立場で、この本質をシンプルに囁いてしまうと、
「時流」と「出資者」の2つに行き着く。
基本的には、スタートアップはIT技術や非IT新技術といった「時流」に即したテクノロジーが中心にあり、そうではない分野はスタートアップとは呼ばれない様子だ。
というのも、「出資者」であるVC(ベンチャーキャピタリスト)が勝ちやすい(=出資する理由がつけやすく投資回収しやすい)マーケティングが、「時流」を捕まえた時点で完了するためだ。
美辞麗句をいかに並べ立てても、出資者は勝てないことはしないし、時流にはどうあがいても絶対に勝てない。
逆から捉え直そう。
「5年以内に急成長しないと伸びない」は、あくまで「テック」スタートアップの方言や訛りにすぎない。
これは技術の時流が終わってしまうマーケティング都合の点と、出資者が投資回収できず途中で事業を終わらせるファイナンス都合の点の、2つのバイアスが存在している。
要は「この技術は儲からなくなったらそれまでだから、5年でケリをつけてね」という殿様商売なのである。
とすると、スタートアップにはそもそも入口の時点でバイアスがあり、成長余地を作ることに長けているのではなく、成長しそうな分野にベットしているだけと理解できる。
いかにキラキラした未来を描こうとも、出資者が苦手な領域は、完全に無視される点に注意しよう。
「5年以内に急成長しないベンチャーはそれ以降伸びない」という説は、テックスタートアップの時流と、出資者の都合でしかないのだ。
現実解。
出資者など無関係で、独自に淡々と成長している企業などたくさんある。
ビジネスモデルから言って資金調達不要で、内情も公開されないから、みんなが仕組みに気づいていないだけ。
boxcox.net、遠藤武。