3行定点観測その5:「SaaSを生成AIが食らいつくす」説への現実解

三行世界。データ分析ここだけ話。

「生成AIがSaaSを喰らい尽くし、SaaSはあっという間にオワコンになる」

そんな説がSNS上で流布しているが、一旦落ち着いて考えよう。

そもそもこの発言には、「スイッチングコスト」「お金の殴り合い」という前提が置き去りにされている。

 

(3行の解説)

スイッチングコストについて。

会計システムや業務システムのSaaSの場合、一度導入したらそう簡単にスイッチしない。

ユーザーはそのSaaSの使い方に慣れ、その上で実際の業務が作られているため、インフラとして機能する。

インフラを即壊してまでスイッチするというヒトのオペレーションは、場の混乱が生じるし、そもそも経済合理性がないため想像しがたい。

 

お金の殴り合いについて。

多くのユーザーを抱えるSaaSを提供する企業は、キャッシュを多く持っている。

規模が一定水準を超えれば、ユーザー獲得のためのマーケティングも、研究開発も、お金ありきの一点に行き着く。

生成AI要素について、SaaS側が資金調達や提携を軸に、単なるツールを超えた「AI社員」要素を強化してくる可能性は十分に考えられる。

生成AI単独でここに切り掛かる経済合理性もロマンも薄く、SaaS側の進化やAIとの統合に勝てるかどうかは怪しいところだ。

 

現実解。

開発や提携やカスタマーサクセスなどについて、ヒトの動きを見ておこう。

SaaSを作る企業に、生成AI関連の求人や、取り組みを示す技術報や広報があれば、既にお金で対応済み。

もちろんSaaSだけじゃくお金を持っているビッグテックなら同じことができるけどね。

 

追記。

むしろSNS上で雑なことを言い出すレベルの低い人が、生成AIに上書き消去されても不思議ではない。

boxcox.net、遠藤武。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。

↑詳しい自己紹介は上記リンクを参照。

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