すでに日本で官僚制が弱体化して久しいが、
強い政治家を求める傾向は変わらない。
みんなついついそう願う気持ちはわからなくもない。
そろそろ、これを逆に捉えてみよう。
サラリーマンのような組織人気質で、
粛々と仕事をしてくれるくらいのほうが、
政治家も公務員もいい仕事をしてくれるものだと。
究極的に言うと、戦争や戦乱が関わる場合を除き、
選挙や公権力ひとつでは、世の中は変わらない。
憲法の縛りで戦争ができない以上、
世の中を変えるには、執念深く自分を変え、
実力をつけ、そこから世の中を変えるほうが早い。
であれば、そんな個人の挑戦を税金で支えてくれる、
粛々と仕事をする政治家や公務員を税金で雇うほうが、
社会全体にとってプラスだと言えるのではなかろうか。
古代ギリシアからの哲人統治のようなリーダーシップを、
ついつい政治家や公務員に求めてしまいがちだが、
きょうび資本や組織やテクノロジーを扱うことのほうがはるかに重要であり、
税金で運営する分野は内こもり気質になって久しい。
であれば、調整役機能だけ税金で委任する仕組みを用意し、
過度なリーダーシップを無理に出さなくていいように簡素化するのだ。
粛々と、やるべきことを、組織人としてこなすのだ。
外資やスタートアップや独立の考え方と反するが、
それは政治や行政が調整機能ゆえのことである。
サラリーマン経営者やサラリーマン幹部が年功序列の結果として機能しているのは、
調整機能が必要ゆえだと逆から考えればわかりやすいだろう。
サラリーマンのダメさが強調される今の世の中だが、
逆から捉えると、小粒な社長では扱えない分野があるのだ。
ゆえに組織で、ちゃんとシンプルな成功パターンや機関を設計しておくのである。
そうすれば、困ったときに粛々と動いてくれるチカラをプールできる。
立候補者に、やたらと出たがりが多くなり、
一頃前に比べるとかなり小粒なエリートを適性度外視で「すごい!」ともてはやすようになったので、
適材適所で、余計なことはさせず、いい意味でサラリーマンのように粛々とわかりやすく扱えばいい。
現実解。
「この人はビジネス/科学で実績と実力がダントツにあり、言ってることは悪くないけど、政治家をやるには視野が狭いよね」というのは、他で大活躍する実力があっても、組織では無能どまりになる。
であれば、実力は独立できるほどでなくてもいいから、サラリーマン気質の空間で活躍できる人を据えるほうが手っ取り早い。
boxcox.net、遠藤武。